6歳児たちの「11月の勝者」を目指す戦いが激化している。2022年度の小学校入試の応募者数は過去5年で最多となり、コロナ禍の2年では15%以上も増加。際立つのは、東京農業大学稲花、洗足学園、立川国際の人気が急騰するなど、小学校受験の勢力図に地殻変動が起こりつつあることだ。特集『わが子に最強の中高一貫校&小学校&塾』(全26回)の#9では、過熱する小学校受験の最新事情に迫った。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
早慶付属や伝統校だけではない
新難関校の誕生で勢力図も激変
ネービーの“戦闘服”に身を包んだ6歳児たちによる、「11月の勝者」を目指す戦いが激化している。
教育図書21が行った首都圏の私立・国立小学校57校への調査によると、2022年度の応募者は過去5年で最大の3万1903人(併願を含む)。コロナ禍の2年で見ると、応募者数は15%以上急伸した。
応募者数が増加した理由として多くの関係者が指摘するのは、目下の中学受験の活況と同じく、コロナ禍で公立小学校のICT(情報通信技術)化の遅れが顕在化して、私立小学校の教育環境に対して魅力を感じる保護者が増えたことだ。さらにジャック幼児教育研究所の大岡史直理事は「在宅勤務や働き方改革の定着、学校説明会のZoomによる開催の増加も受験層を拡大させた」と指摘する。
コロナ禍前は、共働き世帯だと小学校受験に興味があっても、家庭での学習時間の確保や、塾に通わせることが難しい現実があった。それがコロナ禍で受験対策が可能になり、従来なら中学受験を目指していた教育意識の高い「パワーカップル」が小学校受験に参入しているのだ。
その結果、何が起こったか。新規参入組が増えたことで、小学校に求めるニーズが多様化し、小学校受験の勢力図に地殻変動が起こりつつある。
「幼稚舎を筆頭とする早慶付属や雙葉、暁星など伝統校の地位は揺るがないものの、現代の保護者の需要を取り入れ、急激に応募者数を伸ばす学校が出てきている」(教育図書21の新中義一代表取締役)
次ページからは、首都圏主要36校の応募者数の推移を網羅したデータを大公開、23年度入試の行方を占う。
さらに首都圏、関西エリアで倍率が上昇している小学校の特徴を解説し、“お買い得”な隠れた実力校についても紹介していく。もちろん、22年度入試における台風の目、4月開校の東京都立立川国際中等教育学校附属も登場するので必見だ。