コロナによって激変した世界で、10年早まったとされるテクノロジーの進化。これにより、世界をリードする大企業の勢力図が変わりつつある。2025年のすべてのビジネスで基点となるものとは何か。本稿は、山本康正『2025年を制覇する破壊的企業』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。
未来のビジネスは
「体験」が基点になる
A社はハードウェアカンパニー。B社はソフトウェアカンパニー。C社はサービス業。一昔前にあったこのような業種のくくりや壁は、意味をなさなくなります。ハード、ソフト、サービス。これら3つの領域すべてを押さえることに意味があるからです。
逆の言い方をすれば、どれか1つの領域しか手がけていない企業は、GAFAのようなコングロマリット企業に飲み込まれていきます。
ソフトウェアファーストという言葉があるように、昨今のトレンドはソフトウェアが優位なイメージです。ただアメリカはその先をいっています。ハードとソフトがあるのは当たり前、その上で顧客にどのような価値を提供できるのか。つまり、体験です。そしてこのサービス(体験)が、革命の基点ともなっています。
たとえばアマゾン。アマゾンエコーというハードウェアをつくり、アレクサというソフトウェアを開発し、AWSというクラウドサービスも提供。さらに、運送も自ら手がけている。そして運送では、アマゾンプライムのようなシステムで、顧客のハートをガッチリと掴んでいるプランを保持しています。つまり、すべての領域を押さえた上で、アマゾンらしいサービス、つまり体験を提供しているからこそ強いのです。
先述したように、彼らにとってハードウェアは、ただの箱という感覚でしかありません。大切なのは、その箱を活用しての顧客とのリレーションシップだからです。
未来の世界ではこのように、すべての領域を押さえた上で、いかにユーザーが望む体験を提供できるか。その良し悪しが、ビジネス成否のポイントになります。
体験がビジネスの基点になっていきますから、企業はいかにより良いサービスにアップデートできるかに、力を入れていきます。その表れとも言えるのが、最近台頭しているSaaS(サース)、顧客に必要な分だけのソフトウェアをクラウドで提供するサービスです。
SaaSを使い、GAFAは何をしているのか。ユーザーが頻繁に使っている機能、逆に、ほとんど使っていない機能やクレームの多い機能を把握し、改善。より良い価値、体験を常にブラッシュアップしています。
SaaSは利用者にとっても大いにメリットがあります。以前であれば高い金額を出してソフトウェアを購入する必要がありましたが、今では同等のサービスがはるかに安い金額で利用できるからです。しかもフィットしないと思ったら、簡単に解約できます。