新潟空港を拠点に就航準備中の「TOKI AIR(トキエア)」の飛行機新潟空港を拠点に就航準備中の「トキエア(TOKI AIR)」の飛行機。仏ATR社のATR72-600型機だ Photo by Wataya Miyatake

国内航空の規制緩和が本格化してから四半世紀がたつ。その間、浮かんでは消えていったベンチャー航空会社の足跡を追ってみる。そして、新潟発「トキエア」は同じ轍を踏まずに済みそうなものか、検証してみよう。(乗り物ライター 宮武和多哉)

新潟発「トキエア」
度重なる就航延期の訳

 ANAホールディングス(傘下に全日本空輸)や日本航空(JAL)の系列に属さない、「ベンチャー航空会社」として14年ぶりに国内線運航に参入する「トキエア」が、2023年6月末に予定していた就航を延期した。理由は、新潟空港~札幌・丘珠空港間で訓練飛行を行っているものの、乗務員や地上要員のさらなる習熟が必要であるとのことだ。8月10日に延期された就航日も、「今後の訓練や実証運航などの状況を見極めつつ、7月をめどに改めて発表する」とコメントしている。

 新潟県を拠点とするトキエアは、20年の会社設立後、30億円の出資金を集め開業への準備を進めていた。しかし、円安や燃料費高騰の影響で必要な手元資金が45億円に跳ね上がり、22年秋に予定されていた就航が22年度末へ、さらに23年6月に延びた経緯がある。新潟県からの融資で苦境を乗り切ったかに見えたが、就航時期はいまだ不透明だ。

 トキエアに限らず、新興の航空会社はさまざまな壁にぶつかってきた。規制緩和(幅運賃制度の導入)後に新規参入した「スカイマークエアラインズ」(98年就航。06年に社名変更し「スカイマーク」)や「スカイネットアジア航空」(02年就航。15年から「ソラシドエア」)は経営破綻の憂き目に遭い、その後はANAグループや日本政策投資銀行などがスポンサーとなり再建した。

 国内航空の規制緩和が本格化してから四半世紀がたつ。その間、浮かんでは消えていったベンチャー航空会社の足跡を追ってみる。そして、トキエアは同じ轍を踏まずに済みそうなものか、検証してみよう。