不動産業界でも最難関の資格の一つ「不動産鑑定士」。これまでは持っているだけでどこでも食える資格だったが、生成AIの登場によって大淘汰時代に突入しそうだ。特集『ChatGPTで激変!コスパ・タイパで選ぶ 最強の資格&副業&学び直し』(全20回)の#13では、その驚きの理由に迫る。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)
フィールドワークはAIではできないが
鑑定評価書の作成は代替可能
「不動産鑑定士」といえば、不動産系の中でも最難関として知られ、一生食いっぱぐれない資格の代表格だ。そんな仕事が、果たしてChatGPTなどの生成AIの登場によって淘汰されるのか。
不動産鑑定士の主な仕事には、不動産の価値を見極めるための現地調査と鑑定評価書の作成がある。「仕事の半分はフィールドワーク。中古マンション一つにしても、リフォームされているかどうかで価値がまったく違う。そこは最低限、人の目で現地調査しないと判別できない」と、不動産鑑定士の武藤悠史氏は話す。
どうやら今のところ、フィールドワークは生成AIでは対応できないようだ。仮に権利書の内容をAIで読み込んで評価額をはじき出せたとしても、現地で見ると実は境界線が権利書とは違い、隣の敷地にはみ出しているようなケースもある。そうした問題も査定に響いてくるため、どうしても人の目で細かく確認せざるを得ないのだ。
ただ、もう半分の仕事である鑑定評価書などの書類作成業務については、「生成AIをうまく使えば楽になる。その部分は生成AIに取って代わられるかもしれない」(武藤氏)という。
実は他にも、生成AIによって代替される可能性がある業務が存在し、それが原因で不動産鑑定士の二極化が起こり、「大淘汰時代」に突入する、と関係者の間でささやかれている。
次ページでは、不動産鑑定士のどんな仕事が生成AIに奪われる可能性があるのか、さらには生き残る不動産鑑定士の条件を明らかにしよう。