私たちの脳は、3つの部分に分けることができます。まず、脳の中軸部にあたるのが「脳幹」。人間が生きていくうえで大切な免疫系、内分泌(ホルモン)系、自律神経系、脊髄筋骨格系の4つの系統に関与しています。
「大脳辺縁系」は、食欲、性欲、睡眠欲などの本能、喜怒哀楽、情緒などの感情、睡眠や夢などを司っています。
そして脳の表面を覆っている「大脳皮質」は、ものを知覚したり、運動を制御したり、未来の予想、計算、推理などに関与し、人間の知的な活動を支えています。
手書きをすることで
記憶が定着しやすくなる
私たちの脳が情報を記憶するときには、ふたつのパターンがあります。頭で覚える「陳述的記憶」と、体で覚える「手続き記憶」です。
漢字や元素記号などを覚えるのが陳述的記憶ですが、この記憶は一度覚えても忘れてしまうことがあります。一方、手続き記憶は自転車の乗り方や楽器の弾き方などを覚える記憶です。一度覚えれば、忘れにくくなる特長があります。
試験勉強などで知識をひたすら暗記したのに、なかなか覚えられない、ちゃんと覚えたはずなのに試験が終わったらすぐに忘れてしまったという経験は、誰もが持っていると思います。こういった頭で覚える記憶は、なぜ定着しないのでしょうか。
実は、頭で覚えようとしたことは、脳内の大脳辺縁系にある「海馬」というところで処理され、重要度の高いものだけを、記憶に関与する大脳皮質に送るという仕組みになっています。
一度海馬を通過する過程でフィルターにかけられるので、覚えようとしたことがすべて記憶されるわけではありません。