不安や悩みをノートに書き出して、鬱々とした気持ちや頭の混乱をスッキリ整理する――。こうした手法はこれまでジャーナリング、モーニングページ、バレットジャーナル、ブレインダンプ……などとして数多く紹介されてきました。
でも、正しいやり方がわからない、書く時間が取れない、続かないといった声もよく耳にします。そこで、『書く瞑想――1日15分、紙に書き出すと頭と心が整理される』の著者で、5万人以上を変えた習慣化のプロ・古川武士氏が、読者から寄せられた悩みや疑問にお答えしながら、「書く瞑想」のコツについてご紹介していきます。

「手書きの魔力?」書けば書くほど気持ちがラクになる納得の理由Photo: Adobe Stock

なぜ、手書きに効果があるのでしょうか?

[質問]
 書く瞑想をする際に手書きを推奨されていますが、私は字が汚く、文字に自信がありません。そんな私でも手書きが良いのでしょうか。

 また、手書きで書くことによる効果はどんなところにあるのでしょうか。

最大の効果は「心の言語化」

[回答]
 まず、書く瞑想の最大の効果は、「言語化」にあります。よって、手書きでなく、タイピングをしても十分に効果を感じられます。現に、多くの方もデジタルツールを使って書いています。

「手書きの魔法」が宿る瞬間

 一方で、手書きの魔法も間違いなくあります。

 拙著『書く瞑想』にも書きましたが、脳の大脳基底核という部分には、私たちの経験や智慧の蔵のようなものがあります。

 この大脳基底核は運動神経によって刺激されやすく、よって手書きだと、アイデアが湧きやすかったり、直感や感情なども芋づる式に出てきやすい側面があります。

まず書き出す。すると感情が湧き出す

 感情も同じで、書く時点では何もなくても、書き始めると次から次に、潜在化していた出来事や感情が表面意識に浮かび上がってきます。直感も閃きやすくなります。

 特に、心に浮かんだ気持ちを検閲せずにそのまま書き出すスタイルで(私はこの手法を「セルフトーク」と呼んでいます)その威力を発揮します。

自分の感情を認識する「感受性のレッスン」

 心理とは複雑な構造をしており、楽しい、悲しいという単純なものではなく、深い部分ある深層感情(寂しさ、切なさ、喪失感、使命感など)を感じることが自己認識に重要な役割を果たします。

「書く瞑想」は、気持ちの感受性(フェルトセンス)を復活させていくことで、より感情を受け取りやすくなっていきます。そのフェルトセンスを深めるには、手書きがより効果的なアプローチと言えます。

 ただし、繰り返しになりますが、それ以上に言語化されることで、すでに心の浄化作用客観視の効果があるので、アナログで続かないようならば、デジタルにしていただいても問題ありません。