特集『マンション管理 天国と地獄』(全18回)の#16は、RJC48(マンション管理組合理事長勉強会)メンバーによる座談会の最終回。さまざまな成果を上げてきたスゴ腕理事長たちは、意外にも「未来のことを考えると第三者管理しかない」と口をそろえる。2021年から普及し始めた理事会不要の新形態だ。いったいなぜ第三者管理なのか。日本のマンション管理の明日はどっちだ? (ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
がすたま @gasu_tama 2カ所の大規模マンションで理事長を経験
ぞくぶつちゃん @sokubukken マンション管理が趣味の人(炎上系)
中宇宙楼 (なかぞら・たかよし) 大規模マンションの組合役員
はるぶー @haruboo0 RJC48代表。東京都足立区の500戸超マンションの理事を13年
マンション理事会運営の最大のリスク
「物理的になり手がいなくなる」
──最終回の今回は「管理組合理事会のサステナビリティー」がお題です。いろいろな努力で理事長さんや理事が理事会活動を活性化して、さまざまなことを成し遂げても、果たしてそれは理事が代替わりしても続いていくのかという問題がありますよね。どうしたら解決できるのでしょうか。
ぞくぶつちゃん(ぞくぶつ) 中宇さんからたしなめられたりもするんですけど、独裁を継続するしかないのではという結論に……(汗)。いかに一生懸命体制を整えたところで、後に就任した理事長がそれを無視していったら結局意味がないから、自分が続けるか傀儡(かいらい)政権をつくるかしかないのではなかろうか。
がすたま 難しいですね。私は今は理事会を抜けて後任に託した状態なんですけど、次の理事会の立候補者の中に私に明らかに反旗を翻している人がいて、今まで理事会でやってきた改革の流れを見直したいみたいで。今の代から継続で理事をやる他の人とぶつかること必至。でも、自分もそうだったけど手を挙げた人がやりたい思いを優先するのはやむを得ないのかなー。何か文書に残すにしてもそれを後任の人が見なかったら意味がないし。
はるぶー 豪華共用施設の維持を代々高い管理費で支えてきた某有名タワマンですら、このご時世に逆に管理費下げるという話が出てますからね。本来は「いまは管理費値下げでよくても、1個100万円するソファが10年後まで美しく維持できるのかどうか」まで考えなきゃいけないんだけど。
ぞくぶつ どんな方針であってもそれが議論の下に決まるなら私は受け入れるんですけど、問題は大概のマンションはやる気がないことなんですよね。で管理会社も肝心なことに関しては「それは理事会が決めることですから」と逃げる。そうすると結局主権者不在のまま管理が進んでいってしまう。
中宇宙楼(中宇) 根源的に怖いのが「担い手がいない」ってことなんです。仕事や育児が忙しくて、なり手がいないのはまだマシ。あと20年後に住民の平均年齢が15歳上がったときどうなるか。これから高齢者世帯の割合が増えるわけで、理事の平均年齢が60代以上のマンションだと、物理的に体が動かない。ぞくぶつさんのところみたいに力が余ってる若い人が多ければいいのですが。
はるぶー ケンカしてるなんてまだいい方ですよね。まだ熱々だもん。本気で考えてるってことだから。一番問題なのは誰も理事会に出てこなくなること。普通にそうなります。
ぞくぶつ 売買が頻繁に行われてマンションの人口の5~10%が毎年入れ替わらないと平均年齢は動かないので、住民の高齢化は避け難いですよね。その意味でもプロがやる第三者管理にするしかないという結論になっちゃう。
──第三者管理、話題です(詳細は本特集#12参照)。2021年から普及し始めた理事会不要の形態ですけど、スゴ腕理事の皆さんはどう評価されますか。そしてこれは、現在管理に悩んでいる管理組合にとって救いになるのでしょうか?そしてそこにリスクはないのでしょうか。