やってはいけない!相続&生前贈与#8Photo:PIXTA

生前贈与とタワマン節税。相続税対策の“王道”として使われている二大節税術に関わるルールが、2024年から大きく変わる。相続税は人ごとではなく、2021年に亡くなった人の9.3%にあたる約13.4万人に相続税が課されている。特集『やってはいけない!相続&生前贈与』(全16回)の#8では、誰もが避けて通れない相続を巡る24年の大激変について解説する。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

「週刊ダイヤモンド」2023年7月15日・22日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

2024年に相続税の二大節税術が大激変!
生前贈与とマンション節税のルールが変わる

 生前贈与とタワマン節税。相続税対策の“王道”として使われている二つの節税術のルールが、2024年に大きく変わる。

 親の死はいつか必ずやって来る。相続は誰しも直面する問題だ。そして、相続税も人ごとではない。

 国税庁の発表によれば、21年に亡くなった人は約144万人。このうち相続税の課税対象となったのは約13.4万人だ。死亡者全体の9.3%と、実に11人に1人は相続税が課されている。

 マンションなど不動産価格の高騰が続く東京国税局管内では、その比率は14.7%とさらに高まり、実に7人に1人が相続税を課される時代になった。

 そして、相続税を支払うのは、亡くなった人ではなく、遺産を受け取った残された家族である。21年の相続税の納税者数は前年比11.2%増の約29.4万人。そして亡くなった人1人当たりの相続税額の平均は1819万円と、その負担は無視できるものではない。

 相続する財産が多ければ多いほど税率が高くなる相続税対策の基本は、財産を減らすことだ。子供に生前贈与して財産を減らす。現金をマンションへと換え、相続財産としての評価価値を下げる。

 広く使われているこの二つの節税術を封じるべく、国は23年度の税制改正大綱でメスを入れた。