いまや、相続税対策は当たり前。しかし正しい知識がなければ、いくら策を弄してもまったく節税にならないばかりか、損害を被ることも。特集『やってはいけない!相続&生前贈与』(全16回)の#12では、相続税対策で落とし穴にはまらないための注意点を解説する(ダイヤモンド編集部 野村聖子、監修/税理士法人弓家田・富山事務所代表社員 弓家田良彦)
浅知恵での相続税対策は
かえって損をする可能性大
2015年の税制改正で相続税の課税対象者が大幅に増えてから、相続や節税に関する専門家への相談は増えているという。
そして相続税対策への関心の高まりとともに、近年にわかに注目を集めているのが生前贈与だ。うまく活用すれば、相続財産を減らし、結果として相続税を大幅に節税できるからだ。
しかし、21年度の税制改正大綱で、相続税と贈与税のルール改正に向けて本格的な検討を進めるとの記述が盛り込まれ、「相続と贈与の一体化」、つまり生前贈与つぶしの法改正が行われる目算が高いという認識が広まった。
そして23年度の税制改正大綱で、贈与の持ち戻し期間(亡くなる直前に贈与して相続税を節税することを防ぐため、相続発生からさかのぼって一定期間までに行われた贈与は相続財産に加算する)が、24年1月からは従来の3年から7年へと延長されることが決まった。そのため23年末までは、生前贈与の実質増税となる前の“駆け込み”が加速するとみられる。