大気中の二酸化炭素(CO2)を除去する技術は、まだ大規模に実証されておらず、経済的側面もおぼろげに分かり始めたところだ。今年に入って明確になったのは、CO2除去は今や巨大企業が主導し、政府の手厚い支援によって成り立つ領域であることだ。米エネルギー省は今月、CO2除去の大規模施設2カ所を、化石燃料産業の多くの拠点があるテキサス州とルイジアナ州で開設するため、12億ドル(約1750億円)を拠出すると発表した。テキサス州のプロジェクトで最大の競合企業となるのが米オクシデンタル・ペトロリアムだ。同社は独自にこの技術に10億ドル規模の投資を行っている。今年この分野への企業の関与を強固にする3件の取引が行われた。エクソンモービルは回収したCO2を地下貯留スペースまで輸送するパイプラインの運営大手の一つを買収。オクシデンタルは最も実績あるCO2除去技術のスタートアップ2社のうち一方を買収する。もう一方のスタートアップ企業は、CO2除去で初の第三者機関による検証を終え、マイクロソフトなどの大企業にカーボンクレジット(炭素排出枠)を販売して利益を得ている。