地方起業を成功に導く
「ハード」と「ソフト」の組み合わせ

 ならば地方は人を呼べないのか。そんなことはありません。

「きれいな夕日」と「お酒」を組み合わせる。
「きれいな夕日」と「音楽」を組み合わせる。

 このように「ハード」ではなく「ソフト」の価値を組み合わせることで、人が一気に押し寄せるような魅力的なビジネスはいくらでも生まれるのです。

 東京には、つくりものの砂浜を見ながらコーヒーやお酒を飲む「ビーチカフェ」があります。多額の投資をして偽物の砂浜をつくり、多くの儲けが期待できない東京で店を出す。そんなことをするくらいならば「砂浜がきれいな地方で、投資や家賃・人件費といった固定費を抑えつつ店を出せばいいのに」と私なんかは思います。需要は確実にあるわけですからね。

書影『改訂版 地方起業の教科書』(あさ出版)『改訂版 地方起業の教科書』(あさ出版)
中川直洋 著

 私の生まれ育った三重県明和町では近年、歴史的大発見とまでいわれた斎王宮が見つかりました。斎王宮は、伊勢物語に登場する業平(なりひら)と天皇の娘であった斎王の悲恋の物語の舞台です。この恋の物語と、アニメやコスプレなどの「ソフト」を合わせるといかがでしょうか。

 また、復元ですが、平安造りの建物もあるため、照明やスモークの演出を用意するだけで、夜は幻想的な場所となり聖地になるのではないでしょうか。あとは足を運んでもらい、お金を使ってもらうビジネスモデルさえ考えれば、商売としては一丁上がりなのです。