地方はビジネスチャンスの宝庫
「いい風景がある」。それはたしかに素晴らしいことです。しかし下世話な言い方をすれば、風景は「無料」です。観光名所は国や行政の土地であることが多く、「商売」として多くのお金を取ることはできません。
ただ、少し頭をひねり、その風景に「付加価値」をつけることで、「商売」に育つ可能性がある。これをわかってほしいのです。「ここで夕日を眺めながらビールを飲めるのなら、1000円出してもいい」と私は考えました。仮に、本当にその岬に、ビールを1000円で売るお店があったら、私は喜んでそのビールを買い、お店に感謝さえするでしょう(もちろん私が運転の途中でないことを前提としたたとえ話です)。
お店側も、ビールを1000円で売れて嬉しいはずです。価値を提供し、価値に見合った対価を払う。これは、ビジネスの本質です。しかしこの「本質」をシンプルに実行できている地方が、あまりにも少ない。多くの地方が、「地方のポテンシャル」を活かしきれていない。裏を返せば、地方は「ビジネスチャンスの宝庫」だともいえるのです。
地方にはいまだに「箱物信仰」が色濃く残っています。「箱物」とは、テーマパークや博物館といった「人の集まりそうな建物」のこと。ビジネス用語では形あるもの、目に見えるものを「ハード」、無形のものを「ソフト」といいますが、「箱物」はハードといえます。「箱物さえつくれば、人を呼べる」「箱物がないから、人を呼べない」と考えるのが「箱物信仰」です。
そもそも「箱物信仰」自体がおかしな考え方なのですが、百歩譲ってこの考え方が正しかったとしても、国も地方もお金がない現在、新たな箱物をつくるのは難しいといえます。
地方起業を成功に導く
「ハード」と「ソフト」の組み合わせ
ならば地方は人を呼べないのか。そんなことはありません。
「きれいな夕日」と「お酒」を組み合わせる。
「きれいな夕日」と「音楽」を組み合わせる。
このように「ハード」ではなく「ソフト」の価値を組み合わせることで、人が一気に押し寄せるような魅力的なビジネスはいくらでも生まれるのです。
東京には、つくりものの砂浜を見ながらコーヒーやお酒を飲む「ビーチカフェ」があります。多額の投資をして偽物の砂浜をつくり、多くの儲けが期待できない東京で店を出す。そんなことをするくらいならば「砂浜がきれいな地方で、投資や家賃・人件費といった固定費を抑えつつ店を出せばいいのに」と私なんかは思います。需要は確実にあるわけですからね。
『改訂版 地方起業の教科書』(あさ出版)中川直洋 著
私の生まれ育った三重県明和町では近年、歴史的大発見とまでいわれた斎王宮が見つかりました。斎王宮は、伊勢物語に登場する業平(なりひら)と天皇の娘であった斎王の悲恋の物語の舞台です。この恋の物語と、アニメやコスプレなどの「ソフト」を合わせるといかがでしょうか。
また、復元ですが、平安造りの建物もあるため、照明やスモークの演出を用意するだけで、夜は幻想的な場所となり聖地になるのではないでしょうか。あとは足を運んでもらい、お金を使ってもらうビジネスモデルさえ考えれば、商売としては一丁上がりなのです。







