筋力トレーニングの効果が出るまでどれくらいかかるのだろうか
プロトレーニングコーチであるカート・エリス(C.S.C.S.認定士)によれば、「ジムに通い慣れてきた人ほど筋トレの要領も得てきたので、その効果はより身体にあらわれてくるだろうと期待して鏡を見てしまう時期もあるでしょう。でも実際は、必ずしもそうではありません」とのこと。そんなあなたも、それに悩んだ経験はありませんか?
「逆に、筋トレ初心者のほうが、上級者よりも早く効果を実感しやすい傾向にあります。これは、ベースラインの肉体レベルとトレーニング期間(ワークアウトを始めてからの期間)の両方が低いからです」と、話しています。経験済みの人は納得のはずです。
筋トレ初心者のほうが上級者よりも早く効果を実感しやすい
この件は、このように考えてみてください。初心者が床からハシゴを見つめている場合、登らなければならない段数が多く、到達しなければならないレベルも多くなります。一方、上級者はすでに低い段を登って、いくつかの途中の目標に到達しているため、頂上までの移動距離は短いのです。
ニュービー・ゲイン(初心者の成果)とは?
このことをトレーニング界では、「ニュービー・ゲイン(Newbie gains)」と呼んでいます。「newbie」(ニュービー)と「gains」(ゲインズ)という2つの英語の単語から成り立つもので、「newbie」は「newcomer」(新参者)や「novice」(初心者)の俗語的な表現で、「gains」は「進歩」や「成果」の意味。つまり訳すなら、「初心者の成果」「初心者の進化」になります。
一般的に筋トレは全体をとおして、まずは神経系の適応が起こって筋力が増加し、その後に筋肥大が起こるとされています。初心者が筋トレを始めると、未開の地であり伸びしろが大きいわけですから、神経学的な適応によって筋力は急速に進歩する(そして、それほどではなくても筋肉が成長する)ということが実感できます。
その初期の進歩はエキサイティングですが、それほど長くは続きません(そしておそらく、大きなトレーニング目標について、そのまま達成に到るまでにはならないでしょう)。ですが、そこであきらめないでください。それは最初の進歩を超えた、プラトー(停滞期)にぶつかったのです。でも、最初の頃よりゆっくりではありますが、「まだ結果は出る」ということを覚えておくことが大切となります。
よく引用される社会心理学に関する学術誌『European Journal of Social Psychology』の2009年の研究では、「行動を変えようと決心してから習慣が形成されるまで、最低でも18日かかる」と示唆されています。エリスさんも、「これはあらゆるアスリートにも当てはまること」と説明しています。
通常は2~6週間、アスリートなら4~6週間が目安
つまり、その期間は進歩に向けた最初の基準点であり、必死に取り組むべきことを示す合図と思ってください。何かに向かって努力し、変化を起こし、それにコミットすることを決意することは簡単なことではありませんから。
そこから、「通常2~6週間で、体組成や安静時心拍数の変化など、目に見える変化が見られるでしょう。初心者の場合は2~4週間、熟練したアスリートの場合は4~6週間(またはそれ以上)になります」と、エリスさんは話しています。