健康になっている兆候:4つのポイント
減量が目標であっても、体重計の数値だけが進捗状況を知る唯一の指標とは限りません(言うまでもなく、健康でアクティブな状態を維持することのメリットは、体重や見た目のことだけではありません)。
【1】神経学的な適応
筋力トレーニングの最初の「効果」の多くは、目に見えない細胞レベルで起こっています。先ほども触れましたが、新しいスポーツに挑戦したり、例えばヨガで『カラスのポーズ』を覚えたり、あるいは初めて筋トレのルーティンを始めたりするなど、身体に新しいことや難しいことを要求するときはいつも、脳はこれまでにない方法で身体がパフォーマンスを発揮するように信号を送る必要があります。このことをエリスさんは、「神経学的な適応とは、神経系内で起こる変化であり、筋力、コーディネーション(調整)、運動学習、全体的なパフォーマンスの向上に非常に重要な役割を果たします」と、説明しています。
また「神経可塑性(しんけいかそせい=刺激などによって常に適応し進化する脳の能力)によって、トレーニングを続けて行く期間にも新しい経路を開発し続けることができるわけです。このため、トレーニングプログラムには、さまざまな動きや斬新さ、刺激となる適切なトレーニングを取り入れるなど、いろいろな変化をつけることも有益となります。神経経路を強化し、刺激するためには、継続的に進歩を積み重ねていくことが重要なのです」と、エリスさんは話しています。
【2】エネルギーの変化
さらに、「最も早く気づく変化の1つは、エネルギーレベルの変化です」と、エリスさんは話しています。筋力トレーニングによって筋肉に微小な傷ができると身体が修復・成長し、より強く回復するのと同じように、エネルギーレベルにも同じようなプロセスが存在することがわかっています。
ハーバード大学のメディカル・スクールの学術誌によれば、「トレーニングで身体を酷使すれば、セッション中には負担を感じるかもしれないが、このチャレンジは実際には、細胞のエネルギーの星であるミトコンドリアをより多く生成するように身体に信号を送っている」とつづられています。
【3】ムード(気分の高揚)
そして運動中には、エンドルフィン(endorphins)のような「脳内麻薬」とも言われるものが分泌されるため、新たなフィットネスルーティンにより気分の高揚もあり得ます。どんな肉体的行動でもエンドルフィンは分泌されますが、どのような種類のトレーニングや運動強度がエンドルフィンを最も多く分泌させるかについては、現在も研究が進められています。例えば、神経精神薬理学に関する学術誌『Neuropsychopharmacology』に掲載された2017年の研究では、「トレーニング・ハイ」を求めるなら高強度トレーニングが適していることが示唆されています。
【4】睡眠の質の向上
新たなフィットネスルーティンやトレーニングプログラムを開始した後、かなり早い段階で気づくであろう…もう1つの大きな効果は、睡眠の質の向上です。
睡眠の質は健康全般にとって重要な要素ですから、あなどってはいけません。2013年のある小規模な研究によると、十分な休息は短期的にも長期的にもトレーニングへのモチベーションを維持するうえで、重要な要因となりうる可能性があるそうです。