ビッグモーターによる不正請求事案で
損保ジャパンの白川儀一社長が引責辞任
9月8日午後3時半、東京都新宿区に本社を構える損害保険ジャパンは記者会見を開き、白川儀一社長が辞任すると発表した。中古車販売大手ビッグモーターによる保険金の不正請求事案において、不正の可能性を認識しながらも事故車の入庫紹介を再開するなど、不適切な対応を行ったことに対する責任を取ったかたちだ。
もっとも、第三者による社外調査委員会は7月下旬に設置されたばかりで、調査委員会による調査報告はまだなされていない。しかも、損保ジャパンは8月下旬に9月末までに記者会見を開くとリリースしており、業界内では9月下旬に会見が開かれるだろうとの見方がもっぱらだった。
ただ、9月半ばには金融庁が検査に入るとみられるのに加え、8月末に「昨年7月時点で白川社長がビッグモーターの不正について『クロ』だと発言していた」などとの報道が相次いだことで、もはや万事休すとなったのだろう。腹をくくらざるを得なくなった白川社長は辞任を申し出て、急きょ会見を開く運びとなったとみられる。
会見のポイントとなったのは、かねて指摘されてきた通り、昨年7月の事故車の入庫紹介(誘導)を再開した経緯と完全査定レスと呼ばれる損害調査における簡易調査の適切性だ。そして、損保ジャパンの親会社である持ち株会社SOMPOホールディングス(HD)の監督責任。この3点が争点となった。
「調査委員会の報告を待たねばならない」という枕言葉が常に付きつつも、会見で語られた内容を基にポイントを整理していこう。