銀行としては融資をぜひとも増やしたいところだが、誰にでもというわけにはいかない。米国の銀行にとって、預金コストの上昇に伴う圧力を相殺する一つの方法はビジネスを拡大することだろう。融資が増えれば、たとえ個別案件の収益が少なくても、全体的な収益増につながる可能性がある。だが足元では、米銀の融資拡大ペースは非常に遅い。オートノマス・リサーチのアナリスト、ブライアン・フォラン氏によると、米連邦準備制度理事会(FRB)の最新の週次統計では、米銀全体の融資増加率が7-9月期は今のところ3.6%(季節調整済み年率換算)で、長期平均の7%を大きく下回っている。その背景の一つには融資需要の鈍化がある。これは、金利上昇を受けて、住宅や自動車を購入するための借り入れコストや企業の資金調達コストが大幅に上昇していることが大きい。また、商業用不動産など一部セクターで融資への警戒感が広がっているという背景もある。空室だらけのオフィスビルの所有者は、新規融資コストの増加に対応するのに苦労するかもしれない。
ほぼ全てが不良債権? 米銀が融資を渋る理由
預金コストと資金需要の高まりを受け、銀行は融資先を一段と選別するようになり、経済成長を犠牲にしている
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