「質素すぎる給食」問題

 かつて、多くの自治体は調理員を直接雇用し、給食を学校で調理して提供する「直営自校調理方式」を採用してきた。

 ところが、2000年代に小泉純一郎首相(当時)が「聖域なき構造改革」を掲げて以降、学校給食調理の民営委託化が急速に進んだ。

 総務省によると、現在、政令指定都市における学校給食調理の委託率は100%(21年4月1日)。市町村では69.7%である。

 一方、学校給食の調理委託は食材の高騰と相まって、極端に質素な給食が出される一因にもなっている。

 学校給食の給食の食材費は保護者が負担することが学校給食法によって定められている。

 7月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比3.3%上昇。特に「生鮮食品を除く食料」は9.2%も上昇しており、約1年前から高止まりの状態が続いている。

「ところが、給食費は保護者負担が増えるので、上げづらいんですよ。さらに、生活保護世帯に教育扶助として給食費が支給される場合だと、自治体の負担が増えるので、自治体も値上げしたくない。そうすると、給食費を上げたいのは給食の献立をつくる栄養士だけ、ということがある。ただ、献立の工夫も限界がきていると思います」

 これまでも食材高騰の影響で給食の内容が極端に質素となることがたびたび起こってきた。