一方、2023年度の自衛隊の1日分の糧食コストは947円で、隊員数×947円で賄わなければならない。自衛官の糧食費は安く抑えるために、あの手この手で糧食班が苦心しながら地元業者から食材を買い付ける。物価・燃料費・人件費高騰でこの金額で材料を集めるのは厳しく、足元をみる業者もいる。この現状に次のような嘆きの告発が筆者に寄せられた。
「安かろう、悪かろうになるのは仕方がないことですが、たまに酷い業者になると平気で腐った食材を納品するようで、腐って糸を引いた豆腐、変色した冷凍肉、カビの生えたヨーグルト、消費期限を過ぎたパン…結構な事例があるそうです。駐屯地における不適切な納品に関する現状を知り、大きな衝撃を受けました」
「自衛隊の皆さんの食事を見たことがあります。もっとおいしいものを食べてほしいと思いました」と、この動画を見た人からコメントをいただいた。著者も自衛隊の食事がもっと充実してほしいと常に思っている。
食費を含む手当を給料に加算
ビュッフェで食べ放題の米軍
米軍の食事事情についても解説したい。
食堂はビュッフェ形式で、メインディッシュとデザート以外は食べ放題だ。
米軍は給料とは別に生活の基本手当としてBAS(Basic Allowance for Subsistence)が加算される。2023年度、軍に所属したばかりの兵士(Enlisted)に対して452.56ドル(約6万7000円)を支給。また、士官も給料がかなり高額にもかかわらず、311.68ドル(約4万6000円)が支給される。
兵舎に住んでいる軍人(大抵が独身の階級がE-6以下の兵士)にはBASから食事代を引いた「ミールカード」が渡され、食堂でこのカードを提示すれば食事ができる。食事の全てで食堂を利用してもBASの金額から3分の1が差し引かれるくらいで、その残りでトイレットペーパーや洗面用具などを購入することとなる。