ちなみに自衛隊では食事代や隊舎内で使うトイレットペーパーといった消耗品の経費は現物支給の給与扱いとなり、その分も課税される。

 米軍では、政情不安が続く地域や紛争地帯、辺境など、食糧の安定供給が難しい地域では特別な手当がつく。兵士~下士官(E-1からE-9)には905.12ドル(約13万4000円)がBAS2のレートで支給される。この割り当ては特別の処置なので、各軍の長官の承認が必要となる。

 また、宗教上の理由があり、一般の食堂では戒律に合った特別食が食べられない場合は、BASで材料を買い、自分のキッチンで食事を作ることもできる。単身赴任で家族から離れて兵舎に住んでいる場合でも、2~4人に一つのキッチンやバスルームがある。寝室は、パーテーションで区切っている場合もあるが別々だ。

米軍の食事事情

 将校や家族持ちの兵士は兵舎ではなく家族と同居しているため、BASからミールカード分を差し引かれることはない。その代わりに食堂で食べる場合は有料だ。ただし、その場合でも朝食300円程度から、昼食夕食は600円程度で十分な栄養を取ることができる。このBASはインフレーションが起こると、それに合わせて額が調整される。

 筆者が元米軍兵士に「自衛隊の土日の朝食は菓子パン2個と野菜ジュースか牛乳だ」と教えると、「自衛隊では栄養管理も個人の責任なんですか?」と驚いていた。

日本と諸外国での
糧食の捉え方の違い

 2023年9月7日、元自衛官でもある佐藤正久参議院議員が「X」で「やる気を支える為にも、隊員の糧食費単価もあげないと水産物は増えない。昨日も防衛担当と調整したが、一日947円(R5年度)では厳しい。増額に向け努力」と投稿した。

 軍事組織は有事に本領を発揮する。有事に一般企業に頼ることが難しいため、自己完結型の組織であることが求められる。糧食はその調達や輸送、調理などの全ての工程を自衛隊内で完結することが望ましく、かつては自衛隊が食堂を運営していた。