世界2位の経済大国である中国が抱えているのは、しぼむ不動産バブル、債務返済に苦しむ地方政府、その両方が重くのしかかる銀行システムだ。ほかの国であれば、こうした要因は金融危機の前兆と見なされるだろう。だが中国では違うと、これまでの常識では考えられてきた。理由は、債権を保有しているのが外国人投資家ではなく国内投資家で、政府はすでに金融システムの大部分を支えており、有能な官僚が状況を把握しているから、というものだ。これまでの常識は、危険なほど時代遅れかもしれない。確かに、2008年のリーマン・ブラザーズ破綻による世界的混乱ほどの崩壊が差し迫っている可能性は極めて低い。だが、中国の財政・金融の不均衡があまりにも大きいため、同国のみならずその大きさゆえに世界もまた、未知の領域に足を踏み入れている。中国経済と、習近平国家主席が掌握した指導部が、こうしたひずみをどれほどうまく乗り切れるかは全く読めない。