米経済、住宅部門が「もう一つの脅威」にPhoto;Joe Raedle/gettyimages

 米商務省が今週26日に発表する7-9月期の国内総生産(GDP)では、住宅部門が経済成長を押し上げたことが明らかになりそうだ。ただそれが、住宅市場で起きているとてつもなく悪いことが経済を悪化させているという事実を覆い隠すことになってはならない。

 全米不動産協会(NAR)が19日発表した9月の中古住宅販売件数は季節調整済み年率換算で396万戸となった。前年同月の468万戸から減少し、新型コロナウイルス流行直後の水準さえも下回った。これは、住宅ローン金利が急上昇したことで、住宅がますます手の届かないものになっていることを示している。さらに、すでに住宅を所有している人が自宅を売却して新たな物件を購入しようとすると今よりもはるかに高い金利でローンを組まざるを得ないため、そうした動きに慎重になっていることもうかがえる。NARによると、9月の販売在庫は113万戸にとどまり、9月としては過去最少だった。

 さらに悪いことに、中古住宅販売件数は成約時点ではなく物件の引き渡しが完了した時点でようやくカウントされる。そのため、政府系住宅金融機関(GSE)の米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によれば9月の30年固定住宅ローン金利は平均7.2%だったが、9月の住宅販売件数の大部分は、金利がまだ7%未満だった時の住宅ローンで資金調達がなされた可能性がある。フレディマックによると、18日終了週の住宅ローン金利は平均7.63%だったため、中古住宅販売件数は低迷が続くとみて間違いないようだ。