業績好調な投資先で“社長スキャンダル”発覚→株を「売る」「買い増す」どちらが正解か?写真はイメージです Photo:PIXTA

投資初心者にとっては、日々の株価の変化にどう対応したらいいのかの判断は難しいもの。「かなり好調だし買い増そうかな……」「会社のスキャンダルが出たらすぐ売却すべき?」そんなつまずきポイントを、エコノミストのエミン・ユルマズ氏が、投資初心者で10倍株を探しているカルタくんの質問に答える形で解説します。本稿は『夢をお金で諦めたくないと思ったら 一生使える投資脳のつくり方』(エミン・ユルマズ、扶桑社)より一部を抜粋・編集したものです。

サプライズ決算の発表後は
すぐに動くべき?

 最近は、投資初心者のカルタくんが投資を始めた「ひとり湯豆腐専門店・これから湯豆腐」の看板を街中で見かける機会が増えてきました。フランチャイズによる店舗展開を積極的に拡大しているようです。

 そして、カルタくんが株主になってはじめての決算発表では、会社計画の2倍の売上高を達成。来期の業績予想はさらなる成長を見込んでおり、株価も急騰中です。

 ここでクイズです。好決算で株価が急上昇したとき、買い増すべきでしょうか?

A 株価10倍への扉が開いた!全財産を投じて買い増し。
B 好決算は買い材料だが、一呼吸置いてからでも遅くはない。

カルタくん やっぱり僕の目に狂いはなかった。最初に目をつけたときに全財産を投じておくべきだったなあ。

エミン先生 投資にいちばん大切なのはたくさんの数字やデータの分析ではなく、「その会社の成長ストーリーが描けるかどうか」。今回の結果を受けてカルタくんが思い描いていたストーリーが再確認できたのなら、いまから買い増ししても遅くはないよ。

カルタくん でも、こんなに上がっちゃうとなあ。それに、ほら見てください、さっきから買おうとしているのに買えない.……。なんか表示されています。「ストップ高」?

エミン先生 1日の株価の上昇幅を一定範囲内に制限するための仕組みだね。逆に売られすぎると「ストップ安」になり、その日はもう売却できない仕組みだよ。

カルタくん そんな仕組みにひっかかるほど上がるなんて……。明日こそ全財産を投じて買い増しします!

エミン先生 まあ焦らない、焦らない。決算前後は値動きが読みにくくなるから、カルタくんのような初心者は落ち着いてから動くといい。

カルタくん なら、正解はBか。好決算だから必ず上がるのに、指をくわえて見ているだけというのはシャクですね。

エミン先生 でも好決算だからといって、必ず株価が上がるわけではない。「材料出尽くし」といって、目新しさがなければ反落することもある。まずは決算をきちんと分析してみよう。

決算発表の前後は
買いは控えるべし

 上場企業は、年に4回、3カ月(4半期)ごとに業績や財務状況を開示する決算を行い、「決算短信」を発表します。決算書は主に3つの項目(損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書)があります。株価が10倍以上になる銘柄、いわゆる10倍株の条件のうち「売上成長率20%」「営業利益率10%」をクリアしているのか、そしてストーリーは変わっていないのかを確認します。