500年守り続ける酒造り!味を支える木の道具や藁縄も製造

赤穂浪士が討ち入り前に飲んだとされる「剣菱」は、江戸で大ブームになり「剣菱を飲むことを『ケンビる』といったそうです」と蔵元の白樫政孝さん。伊丹で1505年に創業した剣菱酒造は、5家が交代して酒造りを受け継ぎ「剣菱は地酒でなく、下り酒」との矜持を持つ。地元消費の酒ではなく、江戸市場に向けた酒で「日本中の食材や調理法が集まる江戸の味に合うよう設計。海の物にも山の物にも70%合います」と白樫さん。家訓の「止まった時計でいろ」は、1日に2回正確な時間を指すとの深い意味を持つ。酒の造り方を最後に変えたのは220年前。仕込み水の量を増やして以後、変更はない。
酒米は山田錦を主にし、全量を木甑(きごしき)で蒸す。麹は手間と時間を要する蓋麹(ふたこうじ)造りを行う。酒母40日、醪(もろみ)35日仕込みの計75日をかけて醸す。新酒は売らず、熟成させてからブレンドして出荷と、昔造りを徹底する。