頭が悪くても、能力がなくても、抜群の成果を出せる理由
「能力」があまり高くないけれど、熱意を人一倍もって努力する人は、「能力」六〇点×「熱意」九〇点で五四〇〇点になります。一方、「能力」が九〇点もあったとしても、懸命に働くことを嫌い、三〇点しか「熱意」がなかった人は二七〇〇点と、その半分にしかなりません。
「能力」と「熱意」が足し算であれば、差はほとんど開きません。掛け算だけに大きな差が開いてしまうのです。また、こう考えることにより、能力がさほどなくても「誰にも負けない努力」を払えば、優れた能力をもった人を超えて、すばらしい成果を上げることができると考えられるのです。
ここに「考え方」という要素が加わります。この「考え方」とは、マイナス一〇〇点からプラス一〇〇点まであると考えています。そうすれば、掛け算ですから、わずかばかりの否定的な考えであったとしても、人生や仕事の結果はすべてマイナスになってしまいます。
それも、「能力」と「熱意」があればあるだけ、大きなマイナスの値となります。
つまり、この方程式は「考え方」の重要性を示しているのです。考え方、人間性、思想、哲学、あるいはその人の人格が、人生にとって最も重要な要素であるということを表しています。
(本原稿は『経営――稲盛和夫、原点を語る』から一部抜粋したものです)