東京五輪の閉会式に登場した宝塚歌劇団東京五輪の閉会式に登場した宝塚歌劇団 Photo:Naomi Baker/gettyimages

宝塚は、ゆるい調査で明らかになるくらいの組織ではない

 パワハラではなくて上級生からの指導――。そんな宝塚歌劇団(以下、宝塚)の説明が大炎上している。

 きっかけは今年2月に週刊文春が報じた“ヘアアイロン事件”だった。宙組娘役の25歳の団員が、上級生からヘアアイロンで火傷を負わされたという「いじめ問題」についての報道だ。

 宝塚はこれを「事実無根」だとして8カ月間、放置し続けた。その結果、この団員は飛び降り自殺をした。遺族によれば、亡くなる2日前、この団員は宙組トップスターや組長らから「マインドが足りない!」「ウソつき野郎」などと罵声を浴びせられていたという。しかも、週刊文春によれば、18年6月にも同じように「いじめ」の被害にあった予科生が寮のバルコニーから身を投げたらしい。

 こういう話が次から次へと飛び出す中で宝塚としても、「事実無根」というわけにはいかない。そこで、弁護士に内部調査を依頼して、宙組の62人(4人はヒアリングを辞退)、元団員1名にヒアリングを行った結果、冒頭のような説明になった。

 つまり、宙組内に確認したところ、いじめやパワハラのようなものはまったく存在せず、週刊文春の報道がデタラメだったということである。では、なぜ団員は自ら死を選んだのかというと、「長時間労働」で心身が追いつめられたからだという。要するに、疲れすぎて生きるのに絶望をしたんでしょ、というのが宝塚の説明だ。

 この説明には当然、遺族は納得できず再調査を求めている。世間も大ブーイングでワイドショーのコメンテーターも「隠ぺい体質では」「こんな短い期間の調査でわかるわけがない」など宝塚をボロカスに叩いている。

 ただ、個人的にこういう結果になるのもしょうがないと思っている。もし仮にパワハラやいじめがあったとしても、宝塚という組織の性格を考慮すれば、この程度の「ゆるい内部調査」で明らかになるわけがないのだ。

 なぜそんなことが断言できるのかというと、宝塚歌劇団は「女の軍隊」だからだ。