タカラジェンヌになるための「必要悪」、上級生がよかれと…
なぜ旧日本軍の現場の人々が、天皇陛下が厳禁としていたいじめやパワハラをやめなかったのかというと、これを戦争に勝つための「必要悪」だと信じる人が軍隊内に一定数いたからだ。その一部を紹介しよう。
実は「女の軍隊」でも同じようなことを言っている人がたくさんいる。例えば、宝塚の劇団員だった堀内明日香さんは2019年の講演会でこんな事を話している。
言わずもがな、宝塚の人々が軍隊のような生活に耐えるのは、「舞台芸術」のためだ。自分を厳しく鍛えて、素晴らしい舞台をつくりあげて、ファンに感動を届ける。そのためには「強いタカラジェンヌ」を育てなくてはいけない。
だから、「上」はちょっとした困難に直面して弱音を吐くような「下」対して、「よかれ」と思って厳しく指導をする。かつて自分が上級生から受けていたような叱責もする。
しかし、今は小学校や中学校でも、子どもは怒鳴られたり、叱責・詰問されたりということはない。そういう世代が宝塚音楽学校に入って軍隊式の厳しい指導を受け続けたらどうなるか。メンタルがむしばまれて最悪、今回のような悲劇も起きるのではないか。