私人逮捕系YouTuberは
暴行、傷害、逮捕監禁罪の可能性も
ただ、筆者は彼らの逮捕前、動画を見て「危なっかしいな」と思っていた。というのは、彼らの行為が既に犯罪で、逆に現行犯逮捕されても仕方がないようなケースも目についていたからだ。
杉田容疑者の逮捕容疑は名誉毀損だが、刑法230条は「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず…(省略)」とある。そう、「その事実の有無にかかわらず」であり、被害女性がチケットの転売行為やパパ活をしていたとしても、衆人環視のもとで罵詈(ばり)雑言を浴びせながらつきまとう行為は犯罪なのだ。
また、逮捕容疑は女性の容姿にモザイクをかけず晒(さら)した行為だが、一般の往来で「パパ活やってるでしょ」と決めつける発言は侮辱罪(同231条)=具体的な事実の摘示をしないで不特定または多数の人が見られる中で口頭や文書を問わず他者を侮辱すること=に該当する可能性がある。
では、動画では女性が逃げ惑う姿が投稿されていたが、女性が杉田容疑者に立ち止まって抗議していたらどうなっていたのか。取り押さえようとして体を触ったら、その瞬間、暴行罪(同208条)が成立し、万が一、けがでもさせようものなら傷害罪(同204条)になる可能性さえある。
実際に取り押さえてしまったら逮捕監禁罪(同220条)=不法に人を逮捕、または監禁する行為=、逮捕・監禁の結果として傷害または死亡の結果が生じた場合は、逮捕等致死傷罪(同221条)になるかもしれない。