法を悪用した
金もうけに「正義」はない

 一方のガッツchだが、動画は痴漢や盗撮をしたと決めつけた内容が多く「今後も信念をもってこの活動に取り組みますので応援よろしくお願いします!」「全ての性犯罪者に告ぐ ガッツch中島蓮がお前たちを駆逐する」と威勢のいい文言が並んでいるが、確たる証拠があるのかと疑問に思うようなものも含まれている。

 大勢で取り囲んだり、男性に馬乗りになって押さえつけていたりするシーンなどもあり、これは暴行罪や傷害罪、逮捕監禁罪に該当するかもしれない。

 本件の覚醒剤取締法違反事件だが、容疑の「そそのかした」は、その語感から「アシストしただけ」という印象を受けるかも知れないが、実は教唆犯は共犯の一種で、法定刑は犯罪を実行した正犯と同じだ。覚醒剤取締法違反罪(所持)は罰則が10年以下の懲役だから、決して軽くはない。

 警視庁が今回、この事件を問題視しているのは、実際に覚醒剤を所持している人物をわなにかけおびき出すという「おとり捜査」まがいのことをしていたことだ。

「現行犯逮捕は一般人でも可能」と書いたが、捜査機関である警察や検察でもかなり限定される手法で、一般人にそんな権限があるわけがない。警察としては模倣犯が出ないように釘を刺しておくべきだという判断があったのは間違いないだろう。

 煉獄コロアキもガッツchも「正義」を振りかざしてアクセス数を稼いでいたわけだが、目的はほかでもない「過激な投稿で再生回数を稼ぎ、広告収入を得るため」としか思えない。

 法の理念を知らぬゴロツキが、法を悪用して金もうけをたくらむ行為に「正義」を語る資格などないのは誰の目にも明らかだろう。