明治神宮外苑の再開発について反対運動が巻き起こっている。しかし、事実誤認をベースにした反対論も多く、まともな議論が成立していない場面が散見される。そこで、この議論に参加するならば最低限知っておきたい重要な論点について整理した。(イトモス研究所所長 小倉健一)
明治神宮外苑の再開発を巡る
反対運動の中核の一人とは?
いわゆる「アクティビスト」と呼ばれる、特定の社会的、政治的、経済的、環境的な課題や問題に対して変革を求めて活動する人たちが今、最も注目しているテーマの一つが、都市空間における「樹木の伐採」である。その反対運動の中核にいる一人が、グローバル企業を相手に経営コンサルタントの仕事をしているというロッシェル・カップ氏だ。大学で日本語を学び、米国と日本を行き来しながら過ごしてきたという。
カップ氏は自らのアクティビストとしての運動履歴をこうつづっている。
《シカゴに住んでいた30代の頃には、家の近所に巨大な映画館を建てる計画が持ち上がり、住民たちと力を合わせて反対した。駐車場不足から、映画館に行く人たちが車で押し寄せるだろうという問題があり、しかもそこは小学校に隣接する不適切な場所でもあった。しばらくの反対運動の後、建設計画を推進していた市議会議員が私に電話をかけてきて、「あなたたちの勝ちです」と負けを認めた》(2023年4月21日・朝日新聞GLOBE+)
そんなカップ氏は、明治神宮外苑の再開発に反対し、また、東京都中央区にある浜町公園の木の伐採にも懸念を表明している。
《神宮外苑は、最近国内で増加している、商業利益を優先して木を犠牲にする再開発に脅かされている多くの公園の一つである》《2022年2月突然、多くの東京都民と同様に神宮外苑再開発計画のことを知り、1000本もの木が失われると聞いて驚いた》(同記事》としている。