“ポップアップ戦略”で着実に認知を拡大

先述のとおり、Yogiboの売上は伸び続けている。国内では無印良品やニトリが競合ともいえるような商品を展開しているが、なぜYogiboは成長を続けられるのか。

「ウェブシャークが国内でYogiboの展開を始めた後も、私たちが調べている限りでは無印良品やニトリが展開するクッションの販売個数や販売額は大きく変わらず、ほぼ一定を保っています。私たちは彼らのパイを奪ったというわけではなく、どちらかと言えばクッション市場全体のパイを広げていっている、というイメージです」(小猿氏)

そんなYogiboの国内展開の戦略を語る上で欠かせないのが、“ポップアップ戦略”だという。具体的にどういうことか。小猿氏はこう説明する。

「2014年11月からオンラインでYogiboの販売を開始したものの、当時のウェブシャークにはあまり資本もなかったので、十分なマーケティング活動ができていませんでした。そうした中、マーケティング費用を抑えつつ、商品を販売する方法というのがショッピングモールでポップアップショップを展開することだったんです。ポップアップショップの期間は基本的に3カ月〜半年、長くても1年ほどと短いので、企業はあまり出店したがりません。ただ、ショッピングモール側はなるべく家賃をとりたい。そうしたニーズをくみ取ることで、期間は短くてもいいので家賃を安くしてほしいなどの交渉ができたんです」(小猿氏)

その戦略のもと、ウェブシャークはYogibo日本1号店となる「大阪 あべのQ’s MALL店」を2015年2月にオープンし、2015年5月にはYogibo日本2号店となる「デックス東京ビーチ店」をオープンするなど、“ポップアップ戦略”で立て続けにお店を展開していった。

「あべのQ’s MALL店は最初の頃、エスカレーターの横にある広めのスペースを活用し、そこでポップアップショップを展開し、Yogiboを販売していました。出店費用をなるべくかけずにどれだけ稼げるか。今の時代のスタートアップとは違い、当時はお金をかけず、とにかく地道にやっていました。ただ、オンラインで販売を始めてから1週間後くらいにテレビに取り上げられ、そこで認知が高まったのはすごくありがたかったですね」(小猿氏)

潤沢なマーケティング費用はなかったものの、「当時からブランディングは強く意識していた」と小猿氏は振り返る。格闘技イベント「RIZIN」の年間冠スポンサーに就任したり、YogiboのCMキャラクターに「NiziU」を起用したりしているのも、すべてはYogiboというブランドイメージを向上させるための施策となっているとのこと。