“報酬”の課題を解決する独自スキームにより一流の専門家が無償で支援

こうした課題の解決策として、今回CSPではタイムチャージや月額固定のような報酬ではなく、“ファンド全体の投資リターンをスキルパートナーに分配する”仕組みを作った。

通常VCは投資先株式の売却に至った際、売却代金の一部を成功報酬として受け取る。一般的には8割をファンドの出資者であるLPが、残りの2割を運営会社(GP)が受け取るケースが多いが、CSPではこの割合を7(LP): 3(GP)へと変更。その上でGPの取り分の1割をスキルパートナーへのリターンの原資とする。

スキルパートナーは支援先が株式公開やM&Aに至るまでは基本的に無償でサポートをするかたちになるが、支援先が大きく成長するほど成功報酬も増える。一方のスタートアップ側も、落とし穴にはまらないように南氏や各領域の専門家から知見を授けてもらえる。

スキルパートナーの報酬については活動した期間やサポートの内容、投資企業からの評価などを考慮しつつ、ファンド全体の運用成績に応じて決定するとのこと。報酬と案件を紐づけてしまうと、どうしても良い案件だけをやりたいという考えが働きやすくなり、本来もっとも支援を必要としている企業に十分なサポートが行き渡らなくなる可能性があるからだ。

「ファンドの資金集めをしていて(LPの候補先から)『専門家にどれだけコミットしてもらえるのか』ということを必ず聞かれるのですが、それでは結局これまでの発想と変わらない。CSPではその概念を変えていきたいと思っています。スキルパートナーにお願いしたいのは日々の作業の外注ではなく、重要な意思決定のタイミングで一撃必殺のメンタリングをすること。そこに最大の価値があるので、時間という概念だけで測れば(コミットが)それほど多くはなく、だからこそ超一流の人の参加ハードルを低くできるという側面もあります」(南氏)

トップクラスの専門家が参加しやすい枠組みが作れれば、結果的には投資先のスタートアップに対する価値も高まり、新たな投資先を引きつける魅力にもなりうる。CSPとしてはスキルパートナーという独自の強みを磨きつつ、協調投資に特化することで、他のVCと協業していく「プラットフォーム型のVC」を目指していくという。

VC事業は永続的な成長を目指す上での一歩目

これまでココナラでは「個人の知識・スキル・経験を可視化し、必要とする全ての人に結びつけ、個人をエンパワーメントするプラットフォームを提供する」というミッションの下、複数のサービスを展開してきた。