メガバンクに地方銀行、第二地方銀行、信用金庫に信用組合――。全国472金融機関が、これまでどれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか?ダイヤモンド編集部の独自調査を初公開。特集『倒産危険度ランキング2024&初公開!企業を倒産させた金融機関ランキング』の#63では、第40弾として、香川県の金融機関を取り上げる。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
香川県でメイン先企業を最も倒産させてきた銀行は?
百十四銀行、香川銀行が倒産させた企業は何社?
香川銀行と徳島大正銀行を傘下に持つ、トモニホールディングス(HD)が、2023年12月末に公募および第三者割当増資を実施した。発行済み株式が2割増え、トモニHDは計112億円を調達できたが、この増資は物議を醸した。
株価がものすごく安い水準にあり、PBR(株価純資産倍率)が解散価値である1倍を大きく割り込んでいたからだ。公募増資を発表した12月5日のPBRは0.31倍だった。
増資に伴って発行済み株式数が増えるので、株主の持ち分である1株当たり純利益(EPS)や1株当たり純資産(BPS)が希薄化する。これを嫌気し、発表前の12月4日に492円だった株価は、5営業日連続で下落し379円まで落ちた。この間の下落率は実に23%近くに達した。
最終的に、発行価格はPBRが0.23倍の水準で決まった。今回の増資で増えた株数は3220万株だったが、仮にPBRが1倍の水準であれば、同じ112億円を調達するのであっても、株数の増加は4分の1に抑えられたのである。
「PBRが1倍を大きく下回る割安な株価水準にあるのなら、経営者は自社株買いをするのが常道だ。その真逆の増資をするとは、株主軽視も甚だしい」(ファンド関係者)
トモニHDの資本政策に対して、市場では厳しい見方が大勢である。同社の経営陣は、希薄化を上回る収益拡大を実現しなければならない重い責務を負ったのだ――。
経営危機に陥った企業が倒産するのか、それともしないのか。その際に重要な鍵を握るのがメインバンクとなる。
メインバンクとは通常、貸出金のシェアが首位で、当該企業と長年にわたって親密な関係にある銀行のことを指す。ただ、企業側と銀行側で認識が異なっているケースもある。
今後、倒産件数の増加と金融機関の融資姿勢が厳しくなることは必至とみられているが、どの銀行が今後、企業に厳しく臨むのか。それを知るには過去に注目するとよい。その銀行の将来の行動を最もよく表しているのは、口先のきれい事ではなく過去の行動なのだから。
メガバンクに地方銀行、第二地方銀行、信用金庫に信用組合――。全国472金融機関が、これまでどれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部が独自に調査し、その結果をまとめた「企業を倒産させた金融機関ランキング」を初公開する。
第40弾の今回は、香川県の金融機関を取り上げる。百十四銀行、香川銀行のほか、高松信用金庫など信金も名を連ねた。
ちなみに「企業を倒産させた社数が多い都道府県ランキング」は、下表の通りだ。地銀や信金、信組など主な金融機関の内訳も明記したので、ご覧いただきたい。
ランキングは、これからも連日配信していく。全都道府県と全金融業態を網羅した完全版を含めて、さまざまな視点でお届けする予定だ。それでは早速、今回の香川県の結果を確認していこう。