飲食店の悩みのタネになってきた「タブレット問題」

複数のデリバリーブランドを展開する店舗ではタブレット端末の数が膨大な数になることもある
複数のデリバリーブランドを展開する店舗ではタブレット端末の数が膨大な数になることもある

Camelはさまざまなデリバリーサービスからの注文を“1台のタブレット”で一括受注できるシステムだ。

複数の端末を使い分ける必要がないため、店舗側の注文管理にまつわる業務負荷を抑えられるのが特徴。店舗のPOSなどと連携することでハンディ端末への注文情報の再入力など細かい業務をなくせるほか、デリバリー経由での売上を分析するためのツールとしても使える。

tacoms代表取締役社長の宮本晴太氏によると、飲食店の悩みのタネになっているのが「タブレット端末の数の問題」と「POSとの連携」だ。

導入するタブレット端末が多くなるほど店舗のスペースを圧迫する上、サービスごとに異なる操作方法を覚えなければならない。注文状況の管理はもちろんのこと、メニューの登録や更新作業も各端末ごとで必要になるため、その分だけ負担が増える。

「本当は顧客接点を増やすために複数のデリバリーサービスを導入したいものの、(タブレットが)足かせとなっているという店舗も多いです」(宮本氏)

POSについても同様だ。とある飲食店の現場では、デリバリーサービスから注文が入った際に「店舗のPOSに手打ちで注文を入力し直す」ということをやっているそう。大手の事業者では1店舗あたりで扱う注文が多かったり、店舗数自体が多かったりするためその負荷が大きい。そのためPOSと連携して、このような業務を自動化できる仕組みにはニーズがあるという。

宮本氏は現在も東京大学に在学中の起業家で、2019年にtacomsを立ち上げた。

当初は同年代の学生をターゲットにしたデリバリーサービスを開発していたが、飲食店に話を聞く中で行き着いたのがタブレット問題だ。そこから事業の方向性を変え、試しに簡単なデモとサービス資料をさまざまな飲食店に送ってみた。すると大手チェーン店なども含めて複数社から「そこで困っていた」という反応があったため、本格的にCAMELの開発を始めた。

今では個人店から1000店舗以上を展開する大手チェーンまで、累計で約250社が同サービスを導入する。

海外ではビジョン・ファンドも出資、複数のスタートアップが参入

上述したとおり、CAMELのように飲食店のデリバリー関連の課題を解決するサービスは国内外で増えている。

海外ではソフトバンク・ビジョン・ファンドなどが投資をするOrdermarkや、先日1.5億ドルを調達したばかりのDeliverectなどが代表格。Deliverectはベルギー発のスタートアップで、同じような事業者がさまざまな地域で生まれ始めている。日本でもOrderlyやOrdeeなどすでに複数のサービスが存在する状況だ。