tacomsでは比較的早い段階からこの領域で事業を始め、連携するパートナーの数や顧客サポート体制を充実させながら事業を広げてきた。

「パートナーの数」は顧客にとって1番わかりやすい価値だ。現在CAMELはUber EatsやDiDi Food、menuなど9つのデリバリー・テイクアウトサービスと連携している。CAMEL上で管理できるサービスが増えるほど顧客にとっての利便性も上がるため、POS事業会社なども含めてパートナー数の拡大は今後の注力ポイントになるという。

また宮本氏が勝ち筋に挙げるのが「サービスラインナップの拡充」だ。今後は注文の一元管理に留まらず、「デリバリーオペレーション全体を支援できるようなサービス」への進化を目指す。

「今は注文の管理とPOS管理しか対応できていませんが、デリバリーの一連のオペレーションにまだまだ他の課題も存在します。(デリバリー事業は)きちんとやればパワフルだけど、それらの課題を解決する十分なソリューションはまだありません。tacomsとしてはサービスの幅を広げ、デリバリー業務のオールインワンパッケージを目指していきます」(宮本氏)

その取り組みの一環としてモバイルオーダー受け取りロッカー「ピックアップドア」を展開する寺岡精工と協業し、4月からサービス連携を始める計画だ。

この連携により、飲食店はCamelで受注した注文を専用のロッカーを通じて配達員へとスムーズに受け渡せるようになる。これまではデリバリー配達員とテイクアウト受け取り客、店内飲食客が混在してしまってレジ周辺が混雑したり、配達員が到着するたびに受渡し作業が発生して時間を取られてしまったりといった課題があった。

「クイックコマース」の拡大でフード以外の領域にもチャンス

tacoms代表取締役社長の宮本晴太氏
tacoms代表取締役社長の宮本晴太氏

宮本氏は小売事業者などと話をする中で、デリバリーに関しては飲食店と同じような課題が他の業界でも存在することを感じたという。tacomsでは将来的に飲食以外の領域への事業展開も見据えており、小売市場で製品を展開する寺岡精工と協業した背景にはそのような狙いもある。

近年はデリバリーサービスのフード領域以外への拡張が進む。Uber Eatsを例に出すと日本でもローソンやコストコ、ドラッグストアなど飲食店以外との取り組みを強化。2021年11月には食品・日用品専門店の「Uber Eats Market」をスタートした。

Uber Eats Marketのような形態のサービスは、国内外で徐々に盛り上がり始めている「クイックコマース」にも大きく関連する。クイックコマースとはいわゆる「スマホから注文すれば15〜30分ほどでさまざまな商品を届けてくれる」サービスのことで、海外ではGopuffやGorillasを筆頭に複数のユニコーンが誕生している。