これは創業から人々の生活に寄り添う製品の提供を目指して、エレコムが変化し続けてきた証拠でもある。

エレコムのクレド(企業とその従業員が心がける信条や行動指針のこと)の一文に「新たな機会・新たな領域に挑み続ける」という言葉がある。これは、時代の変化にあわせて、恐れず新しいことにチャレンジするエレコムの姿勢を表している。「ニーズに応え、デザインにこだわり、品質管理を徹底する」という根本にある信念を守りながら、新たな豊かさや喜びを世界に届けることこそが使命だと考えているのだ。

これまでもパソコン関連機器からスマートフォン関連機器、さらにはヘルスケアやフィットネス、生活用品やアウトドア製品と、自分たちが実現するべきだと考えたものは、開発に取り組んできた。それゆえにエレコムが白物家電に取り組んだことも自然な流れだった。

社会が成熟してモノがあふれる現在、「人々の生活から切っても切り離せない『食』を通して、おうちで過ごす時間をもっと豊かな時に変えたい」という想いが、今回のプロジェクトをスタートさせたのだ。

ひとり暮らしの“おうち時間”を豊かにしたい

具体的に開発を始めたきっかけは、2018年にデザインチームが発足したタイミングだ。チームに配属された4人はそれまで別々のチームで、パソコン周辺機器やスマートフォンの充電器、オーディオ製品、バッグ、加湿器などエレコムが扱うさまざまな製品を企画・デザインしてきた。当時、社内では「新規事業として家電にチャレンジしたい」という話が出ており、このメンバーで何か新しい提案をしようとなった。

「新しいテクノロジーがもたらすイノベーションとユーザーをつなぐ“かけ橋”となる」というエレコムのコンセプト「LIFE STYLE INNOVATION」を体現するような製品を立ち上げようと企画をスタートしたのだ。

その頃、メンバーは全員ひとり暮らしをしていたこともあり、自分たちの生活や実際に使っている家電の話などからディスカッションを重ねた。その議論のなかで、それぞれ仕事や趣味などで忙しい毎日を送りながらも“おうち時間”を豊かにしたいと思っていること、そして食生活や調理家電に同じような不満があることに気づいた。

その後、インタビューやアンケート調査などでひとり暮らしの食にまつわるあれこれを詳しく調べていくと、「健康や美容のためになるべく自炊をしたい」「家でゆっくりご飯を楽しみたい」と思いながらも、「時間がない」「調理が面倒」「片付けが面倒」という理由でなかなか自炊ができない人が多くいることがわかった。