まずは個人をターゲットに、2019年10月にコーチングサービス「mento」の提供を開始。約2年弱が経った2022年1月には所属コーチ数は160人以上、累計セッション時間は2万時間を超えるコーチングプラットフォームとなっている。
個人に続く形で、法人向けにもコーチングサービスを開始したmentoだったが、2020年は苦しい時期が続いた。個人向けはコーチングへの関心の高まりとともに利用者は増えていったが、法人向けはコロナ禍で研修費用を削る流れもあり、思うように伸びずにいた。
風向きが変わったのが、2021年。コロナ対策が明確化してから、大企業が事業環境の変化やイノベーションへの圧力、リモートワークにおけるマネジメントスタイルの変化などから、従来の一定の人数が集まる「集合研修」に課題を感じ始めた。
![法人向けの需要拡大で成長、コーチングサービス「mento」の運営元が3.3億円の資金調達](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/7/8/-/img_785d141381cf7fd316a3577d69e5a9111376707.jpg)
「2021年に入ってから、日系大企業のコーチングへの関心が高まったと感じています。大企業の人たちが『今までは集合研修をやっていれば一定の満足感もあり、成長を実感するマネージャーも多かったけど、今はそうではない』と言うんです。ここ数年で画一的なスキルを身につけさせるのではなく、一人ひとりに寄り添ったキャリア形成と能力開発が求められるようになった結果、法人からのコーチングのニーズが高まっていきました」(木村氏)
昔から法人向けのコーチングサービスはあったが、それらは高価なエグゼクティブコーチング、もしくは中間管理職のコミュニケーション技術としてのコーチングスキル研修が主流で、従業員がプロのコーチングを受けるサービスはあまり存在していなかった。
「mentoは最初に個人向けでサービスを展開していたこともあり、プロのコーチをきちんと揃えられていたことも大きかった」と木村氏は語る。
コーチの数が揃えられていることで、企業に対してニーズに適したコーチを紹介できるようになったため、企業側の満足度も高まり、導入先が増えていった。現在は、大企業がメガベンチャーを中心に、さまざまな企業でミドルマネージャー向けの研修などでコーチングサービスが活用されているという。
![法人向けの需要拡大で成長、コーチングサービス「mento」の運営元が3.3億円の資金調達](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/c/8/-/img_c8744c9a5093b8091c02ff3f4fac8250182177.png)
「コロナ禍でマネジメントの難易度が急激に高くなりました。従来のようなコミュニケーションができない中で、マネージャーもたくさん話を聞き、その内容を理解し、適切なフィードバックをすることが求められている。『マネジメントが上手くいかない』と悩む人たちは増えていますし、それがメンバーの悩みにもつながっている。会社としてマネージャーの育成をどう支援していくか、という機運は高まってきています」(木村氏)