事業が伸び悩む中、ターゲットをSMBからエンタープライズに切り替え、アプリの開発・運用・分析をノーコードで提供するアプリプラットフォーム「Yappli」を提供することで成長を遂げてきた。2020年12月に東証グロース(旧:マザーズ)市場に上場。現在、Yappliは600社以上の企業が導入。企業がYappliで開発したアプリの累計ダウンロード数は1億件を突破している。

「Yappliの提供を通して、私たちにもアプリのテンプレートなどのノウハウやアセットが溜まってきました。また、SMB事業者からの問い合わせも増えてきたこともあり、今のタイミングであれば、SMB向けのサービスも上手くいくと思いました」(庵原氏)

国内では先行するプレーヤーとして、Appify Technologiesが提供する「Appify(アッピファイ)」、GMOデジタルラボが提供する「GMOおみせアプリ」がある。庵原氏は「エンタープライズ向けのサービスを通じて培ってきたノウハウやアセットがあり、アプリ作成の市場においてはヤプリがリードしていると思っている」と語る。

また、他のサービスは“EC”などの機能に特化しているが、Yappli Liteは事業成長にあわせてキャンペーンなどの機能を作成していける点が他にはない強みになっているという。例えば、飲食店がアプリにクーポン機能を搭載したり、学習塾が動画の埋め込み機能を搭載したりできるようになっているとのことだ。

今後はグローバル展開も視野に

今回、新サービスではなく“新料金プラン”と銘打っているのも「Yappliのプラットフォームをそのまま使っているため」(小野氏)だ。専門の知識が必要なく、ノーコードでアプリが作成できるYappliの価値は、そのままYappli Liteユーザーも享受できる。

最大の違いは"カスタマイズ性”にある。Yappliは40種類ほどの機能を提供し、事業者ごとにカスタマイズできる点をウリにしているが、Yappli Liteはあえて機能を絞っているという。

業種の特性に合わせたテンプレートを選択し、ドラッグ&ドロップでテキストや画像などの情報を入力すれば、ノーコードでアプリを制作することができる
業種の特性に合わせたテンプレートを選択し、ドラッグ&ドロップでテキストや画像などの情報を入力すれば、ノーコードでアプリを制作することができる

「創業時にセルフサーブ型のサービスが上手くいかなかったのは、アプリ作成の難易度が高く、何から始めればいいのか分からなかった、というのがあります。そのハードルの高さは今も変わっていません。そのため、Yappli Liteはあえて機能を絞り、必要な機能がプリセットされているレイアウトを選び、編集するだけでアプリが作成できるようにしています。Yappliではその部分を人を介してサポートしていましたが、Yappli Liteでは機械化し、セルフサーブでストア申請以外のことができるようになっています」(小野氏)