また、音質へのこだわりや、第三者からの客観的な聴きやすさなど副業メンバーならではの観点をフィードバックしてもらえます。更新の遅れが生じやすい中、副業のメンバーと月◯本と契約することで、ペースを崩さずに配信できています。

もう1つは、エンジニア、デザイナーなど事業推進に必要な特定のスキルを持つプロフェッショナルの副業です。創業まもないスタートアップにおいてはエンジニア採用が非常に難しいため、メガベンチャーの優秀なエンジニアに副業としてジョインしてもらうことでプロダクト開発のスタートダッシュをかけるケース、などがあります。実際に話を聞いてみると「CTOとエンジニア1名以外は副業が10人です」というスタートアップも少なくありません。

では、スタートアップでの副業を考えるのはどういう人たちなのでしょうか。

副業のメンバーから話を聞き、なおかつ自身も経験してきた立場として思うことですが、「自分が経験したことをスタートアップエコシステムに還元したい」「自分が培ってきたスキルの再現性をスタートアップで試してみたい」という前向きな気持ちが強いように感じます。

中には「今の会社で年収が上がらないから副業をやりたい」という人もいると思います。ただ、少なくとも私の周りにいるメンバーは金銭的報酬だけが目的では無い方が多いです。今回のテーマである「正社員として採用したい副業人材」もそういった方たちではないでしょうか。

定点観測し、わずかな変化に気づくこと

では、優秀な副業人材を採用する上で、人事はどのように関わっていけばいいのでしょうか。最も避けたいパターンは、意中の人材から「実は、再来月からほかの会社で正社員として働くことになりました」と告げられることです。

そもそも、副業のメンバーを正社員のように丁寧に1on1するのはリソース的に難しく、キャリアやメンタルのコンディションを把握しにくい状況があります。

その一方、当初は「今正社員として働いている会社を辞めるつもりはない」と言っていた人でも、副業として関わる中で「ちょっといいかも」と気持ちが変化していくケースもあります。ポイントとなるのは、人事や周囲のメンバーが副業メンバーの気持ちのグラデーションに気づくこと。接点を持つのが難しいのであれば、月次でサーベイを取るなど、簡易な形でeNPSのようなものに協力していただくのがオススメです。

今の時代、働く上での雇用形態の違いはそれほど関係ありません(契約内容を適当にしていいという話ではありません)。だからこそ、「もっと働く環境を良くしたく、不満があれば解消したいので、サーベイに答えてほしい」と依頼することを自然に行ってみましょう。