サーベイには「今月を振り返ってどうでしたか?」「会社に何かフィードバックがあればお願いします」といった項目の一番最後に「正社員としてジョインする可能性はありますか? 1〜5でお答えください」という設問を用意します。

「5」が「ジョインする可能性がある」、「1」が「ジョインする可能性がない」だとすると、毎月「1」がつくはずです。

しかし、ある月に急に「2」と答えたとしたら、人事はこの兆候を逃してはいけません。すぐにアクションし、「何か心境の変化ありましたか? 今度1on1お願いできますか?」と声をかけてみます。すると「実は、今の会社でやり切った気持ちが出始めてきたので、転職活動をしようと思ったんです」という話を聞くことができることがあります。本格的に動き出す前にアプローチできるきっかけになり、転職先への希望や条件なども把握できる一歩目に繋がります。

大事なのは、定点観測し、変化に気づいたらアクションを起こすこと。今の時代、リモートワークだと会話のきっかけを自然につかむこと自体が難しくなってきています。だからこそ、「当社で働く可能性はありますか? 1〜5でお答えください」というストレートな設問でもいいので、ずっと「3」だった回答が「2」や「4」になったタイミングをきっかけに話しかける。1対1で会話できる場面を意図的につくり出すことがポイントです。これは何も副業メンバーに限った話ではありませんね。

実直に、長期スパンで口説いていく

とはいえ、正社員として迎えるまでのプロセスには違った難しさもあります。声をかけても社交辞令だと受け取られ、「タイミングが合えば……(笑)」で終わってしまうことも少なくありません。

そうした状況でも、あきらめずに「何で副業のままなんですか?」と聞いてくことが大事です。もっと言うと、「今、パフォーマンスに満足していて、ありがたく感じています。ただ、〇〇さんのパフォーマンスを見れば見るほど、月40時間ではなく、80時間、もしくは160時間にならないかなと思っています。実際、正社員になる可能性ってありませんか?」と強い関心を抱いていることをアピールするのです。

もしくは、切り口を変えてもいいと思います。「次のキャリアへ進むとしたら、何を求めますか?」、「現職はなかなか辞めにくいと思うのですが、どこまでいったら『やり切った!』と感じますか?」、「当社のことは、正直どう見えてますか?」、「今後のキャリアを考えるにあたって、当社が力になれるようなことはありますか?」など、熱意が伝わり、相手が答えやすい質問をしていく。「いやいや……」とかわされることもありますが、こちらは本気度合いを伝えていくことしかできないので、継続していくことが大事です。