コロナ禍で激変した芸人の生き方

リーゼントヘアに赤いジャケット姿──この格好がトレードマークとなっているTAIGAさん。「爆笑レッドカーペット」や「あらびき団」などのテレビ番組に出演したほか、2014年の「R-1ぐらんぷり」では決勝の舞台も経験している。テレビ番組への出演だけでなく、地方のイベントや興行に出る“営業”によって、生計を立てていた。

そんなTAIGAさんの生活がガラッと変わったのは、2020年3月のこと。新型コロナウイルスの感染が拡大し始めたタイミングだ。当時、芸人の仕事に加えて、音楽フェスやコンサートの大道具を搬入するアルバイトをしていたTAIGAさんだったが、その両方の仕事が一気になくなってしまった。テレビ番組は過去の再放送が中心となり、感染拡大防止の観点から営業もなくなり、音楽フェスやコンサートも開催できないためアルバイト自体もなくなった。

「コロナ禍になったときに、エンターテインメントの仕事は真っ先になくなる仕事なんだなと痛感しました。今までは当たり前のように芸を披露する場所がありましたが、それはあくまで人々の生活が何事もなく、上手くいっているときの話。(コロナ禍などを含めて)物事を楽しめなくなる状況に陥ると、お笑いって求められなくなるんだな、と」

エンタメでの収入がほぼゼロになってしまったTAIGAさん。何とか日銭を稼ぐために、新しく始めた仕事がUber Eatsの配達員だった。

「(事務所の後輩である)ぺこぱの松陰寺太勇が売れる前にUber Eatsの配達員をやっていて、彼から配達員のシステムなどを聞いていたんです。でも全然理解できなくて。『スマホに注文が入るって、どういうこと?』みたいな。まさか自分がやるとは思っていなかったです」

当初、TAIGAさんは「夏ごろにはコロナ禍も落ち着いているだろう」と考えていたそうだが、新型コロナの猛威はその後2年以上続くことになる。「夏くらいまで配達員の仕事でしのげば、芸人の仕事も復活するだろうと思っていたら、全然そんなことはありませんでした」とTAIGAさんは語る。

ライブ配信でUber Eats3日分くらいの稼ぎを得る

来る日も来る日も自転車を漕ぎ続け、料理を配送していったTAIGAさん。Uber Eatsの配達員を始めて1年が経ったタイミングで、マネージャーから音声配信アプリ「stand.fm」の存在を教えてもらう。「最初は『音声配信って何それ?ラジオ?』みたいな感じで、どういったものか全然わからなかった」というTAIGAさんだったが、待機中の時間を活用するアイデアを思いつく。