「Uber Eatsの待機中は世界一無駄な時間なんです。お金にもならないですし、スマホゲームをやったり、動画を見たりするだけ。40〜50分は注文が入らないこともあるので、配達をしながら『この時間はどうにかならないのかな』と思っていました」

「そんなタイミングでマネージャーから音声配信アプリのことを教えてもらい、待機中ラジオという切り口にすれば待機時間を有意義なものにできて、面白そうだなと。そう思い、待機時間中にライブ配信を始めることにしたんです」

 

ライブ配信中に話すネタは決めず、待機時間に入ったら、ひとまずライブ配信を始める。その日の天気などを話していると、コメントや質問が来るので返事をしたり、時には「売れてないだろ」というイジリに対してツッコミを入れたりする。好き勝手に話しているうちに、新たに注文が入ったらライブ配信をやめ、配達に戻る。

「待機中ラジオを始めてから、待機時間が楽しいものになりました。今までは働きたくても働けず、ただ無駄な時間になっていただけだったので。全く稼げなかった時間が稼げる時間になったので、個人的にはとてもありがたいですね」

現在、音声配信アプリから得られる月の報酬は数万円程度。決して大きい金額ではないが、それでも「Uber Eats3日分くらいの稼ぎになっている」とTAIGAさんは語る。また、ライブ配信にはTAIGAさんのことを“師匠”と慕うぺこぱやオードリーのファンも来るため、今まで接点のなかった人たちとも関係性が構築できているという。

多様化しつつある、芸人の稼ぐ手段

生活が激変してから、約2年弱。当時よりかは感染状況も落ち着きを見せているが、それでもコロナ前のような仕事状況にはなっていない。「5月も2本くらいしか営業の仕事がなかったので、復活と言える状況には戻っていない」という。

だが、そうした状況でもフードデリバリーサービスの配達員や音声配信アプリの活用など、芸人が稼ぐ手段は増えてきている。

「自分はYouTubeチャンネルも開設しているので、今後は“便所酒場”というタイトルで、自宅のトイレでお酒を飲みながら配信するのもやってみたいですね。とにかく食っていくためにいろんなことをやっていかないと、と思っています」

音声配信やYouTubeチャンネル──昔はテレビ番組への出演や営業が芸人の稼ぐ手段だったが今の時代、稼ぐ手段は多様化しつつあるようだ。