NFTのホルダーと共にアニメを制作する

ANIMは6500体の動くジェネラティブNFT(プログラムやアプリによってランダム生成されたもの)である「ANIM PFP」(編集部注:PFPとはソーシャルメディア上のプロフィール写真としてよく使われるデジタルアート作品のこと)のホルダー(所有者)と一緒に、アニメを制作していくというプロジェクト。

従来のアニメ制作は製作委員会を起点に、アニメ制作会社が仕事を受け、アニメーターが制作する構造だが、ANIMはファンの声を起点にプロジェクトの運営元であるANIMがアニメーターと一緒にアニメを制作していくDAO(分散型自律組織)の概念を取り入れたコミュニティだ。

収益に関しては、ANIM PFPの売上の一部や原画をNFTにして販売した際の売上、版権の二次利用による売上が還元される予定となっている。

NFTホルダーと共同で制作、新しいアニメづくりを模索するプロジェクト「ANIM」
 

ANIMファウンダー兼メインデザイナーの"LEG”こと足尾暖氏によれば、同プロジェクトを立ち上げたきっかけは、前述したアニメ産業が抱える課題に加えて、日本のアニメをモチーフにしたデザインが特徴的なロサンゼルス発のNFT「Azuki」などを筆頭にアニメ系のNFTプロジェクトが海外で盛り上がりを見せていたことへの危機感だという。

「Azukiなどのプロジェクトは素晴らしいものではありますが、あれを見たときに日本のアニメ産業が培ってきた文化や技術などを、表面のキラキラした部分だけ持っていかれてしまったように感じたんです」

「また、大きな資金を得た海外のプロジェクトは将来的に、日本のアニメスタジオを買収するアクションもとるのではないか。そんなことを考えるようになりました。実際、海外のプロジェクトから『日本のアニメスタジオを紹介してほしい』という依頼も受けたこともあります。このままでは、日本が海外発のIPをもとにしたアニメを制作するだけの“工場”になってしまうという危機感がありました」

その危機感をもとに、立ち上げられたプロジェクトがANIMだ。2022年7月末にNFTをリリースしたところ、8月15日時点でNFTの総ホルダー数は1726人となった。コミュニケーションツールのDiscord上にあるコミュニティ内でアニメ制作に関するディスカッションが行われており、11月ごろに制作したアニメが公開される予定だという。

ANIMではまず「1話数分の短尺アニメを制作していく」(LEG氏)とのことで、それをTikTokやYouTubeなどで配信する計画。さらに、長尺アニメの制作も手がけていく。年内公開予定のオープニングムービーでは、ロックバンド・MAGIC OF LiFE(マジック オブ ライフ)がANIMの主題歌を担当することも発表された。