儲かる農業2024 JA農水省は緊急事態#17さぬき有機代表の宮下靖弘氏。7品目あるサツマイモ苗は、年間出荷量100万本で四国1位。タマネギ苗は全国4位 Photo by Masahiro Shimizu

ダイヤモンド編集部が選定する中小キラリ農家ベスト20で7位に食い込んだのが、香川県坂出市の、さぬき有機だ。同社の利益率は27%であり、同ベスト20に入った売上高1億円超の農家の中で最も高収益だ。なぜ補助金に頼らず、この利益水準に達しているのか。特集『儲かる農業2024 JA農水省は緊急事態』(全17回)の最終回では、同社の儲かる秘訣である「有機農業版SPA(製造小売業)」とは何かに迫った。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

売上高1億円超で最も高い利益率を実現!
補助金に頼らずもうける有機農業版SPAの全貌

 中小キラリ農家7位のさぬき有機(香川県坂出市)は利益率が27.3%。今回のランキングでは、売上高1億円超の同農家の中で最も高い。しかも補助金には頼らずに、この水準を出している。その秘訣は「有機農業版SPA(製造小売業)」にある。

 SPAを採用し高収益を上げる代表例がユニクロ。商品の企画から調達・製造、販売までを一貫して管理する。一方、さぬき有機のSPAはどのようなものか?

 同社の売り先決定率は98%だ。顧客の顔が見えず、需給で価格が乱高下する市場での販売は極力避け、相対の商売で顧客ニーズを把握することにこだわる。宮下靖弘代表は「昨年は法人顧客との商談や新規の営業で、1カ月かけて九州から東北まで回った」と話す。

 次ページでは、補助金に頼らずに、高い利益水準を実現している有機農業版SPAの秘密に迫る。同社が取り組んでいる社員の「多能工」化についても解説する。