そうです。試合の国際映像は(いずれも)HBSという会社が制作しますので、(ABEMAと地上波で)映像自体は基本的には変わりません。ただ、実況や解説、また映像に載せるテロップ、ハーフタイムでのスタジオ部分はABEMA独自のものとなります。

──ABEMAで独自に実況アナウンサーを立てるのですね。サッカー中継において実況アナは非常に大切で、現在放送するプレミアリーグの中継ではフリーのアナウンサーを起用しています。

ABEMAで放送する全64試合、我々で実況・解説をつけて配信していきます。人選については、今まだ調整中ではありますが、テレビ朝日のアナウンサーが実況をお届けする予定です。

リアルタイム、追っかけ再生、見逃し、さまざまな視聴スタイルを楽しんでもらう

──ABEMAでは相撲中継で格闘ゲームのような演出を入れたり、将棋中継では形勢判断をAIによって数値化しリアルタイムで見せるなど、これまでと違う切り口が評判でした。W杯でもユニークな見せ方は考えていますか。

そこは考えていません。競技自体を真摯(しんし)に伝えたいと思っています。将棋や相撲での取り組みは、競技自体をまだあまり見たことがない“ライトな層”にもっと見てもらい、放送を通じて新たなファンを増やしていくことで業界自体が大きくなり、将来的な視聴者自体も増えていくという大きい循環を考えていました。しかしサッカーはすでに国民的スポーツですし、W杯は誰しもが興味を持つ大会です。その魅力をストレートにしっかり届けたいと考えています。

試合中に数台のカメラ映像から好きなアングルを選べる「マルチアングル映像」でW杯が楽しめる 画像提供:サイバーエージェント
試合中に数台のカメラ映像から好きなアングルを選べる「マルチアングル映像」でW杯が楽しめる 画像提供:サイバーエージェント

──2022-2023シーズンからABEMAではプレミアリーグ中継もスタートしました。同じ年に2つのサッカーコンテンツが始まったのは偶然でしょうか。

直接的な関係はありません。W杯中継は今年の1月には決まっていて、その後プレミアリーグの放映権を獲得しました。

とはいえ、全く関連性がなかったわけではありません。W杯中継が終わった後にもABEMAでサッカーの楽しさを届けたいという思いがあり、その中で世界最高峰のプレミアリーグを放送するチャンスがあったことは、中継決定への後押しになった面はあります。

──W杯開幕を控え、「推しサカ!」などの番組も始まりました。「FIFAワールドカップ64」のABEMAでのアディショナルトークは、テレビ朝日の地上波ではできない、かなりマニアックに突っ込んだ番組になっています。日向坂46の影山優佳さんの“サッカー通”ぶりも存分に発揮されている印象です。

ありがとうございます。地上波と違い、番組の時間、尺を気にしなくていいことはインターネットテレビならではの特徴だと思います。W杯本番でのスタジオゲストなどはまだ調整中ですが、現在放送中の「ワールドカップ64」の出演者のみなさまにはぜひお願いしたいと思っています。