やったこと自体はとにかく基本の徹底です。多くのステークホルダーとの接点を作り続け、自社の戦略や提供価値の磨きこみをし、何より、絵にかいた餅とならないよう、同時に足元の事業や組織を固めていくことへ愚直に向き合ったという、私にとっては非常にシンプルな1年だったように思います。

佐藤詳悟 / FIREBUG代表取締役 CEO

──2022年に盛り上がったキーワードは何でしょうか?

短尺動画。

──そのキーワードを選んだ理由を教えてください。

各種SNSで短尺動画を出せる機能がすべて出揃ったので、短尺動画が暇つぶしの中では一気に上位に入ってきたと思います。ユーザーは短いものを好む脳みそになっていき始めていると思うので、本当に好きなものしか長くは接触(見たり聞いたり使ったり)せずに、ほんの一瞬で好き嫌いを判断するようにもっとなると思います。

また、何でも短くわかりやすく説明しないとわからない世代も出てくると思うので、マネジメント手法やさまざまな生活環境(政治、交通、教育などなど全ての領域)で「短く・分かりやすく」は必須のスキルになると思います。そんなことからSNS以外でも短い動画の使い道はもっと増えると思います。

──2022年の動きを踏まえて、2023年に個人的に期待している領域、またどういった領域がトレンドになると思いますか?

弊社はタレントやアーティストのDX支援を手がけているのですが、来年はメタバースがトレンドになるのではないか、と思います。前述で短尺動画が「暇つぶし」の上位に食い込んできていると記述しましたが、新しく登場するもので、ユーザーの長い時間を奪えそうなのがメタバースだと思っています。今の人たちの環境は幸せで、自分の「好き」があれば、その「好き」に永遠に浸ることができます。

自分の好きなもの以外の情報を遮断することもできます。自分の「好き」があれば、その好きな空間に訪問し、自分の好きなものをいっぱい体験する。そういう意味でメタバースは最高の暇つぶし体験になると思います。しかも単純にエンタメ時間ということでもなく、買い物や友達とコミュニケーションを図るなどもできると思うので、奪える可処分時間は多いと思います。色々身につけたりして、結局「これ面倒じゃない?」とならない使用感になればブッ刺さると思います。

──市場環境にも大きな変化があり、上場承認を受けた企業が上場を延期したり資金調達がシビアになったりと、スタートアップも大きく影響を受けた1年だったと思います。起業家として事業を運営する中で大変だったことなどあれば教えてください。