毎年コツコツやっているので、特に今年が何か大変だったということはありません。ただ、法律などのしっかり明文化されたルールと社会のトレンド的なお題を理解することが経営者には必要で、常にルールとお題を頭に入れながら、経営していくことが大事であるというのが勉強ができた1年でした。今年ほど社会のお題が変わった1年はなかったと思います。

篠塚孝哉 / 令和トラベル代表取締役社長

──2022年に盛り上がったキーワードは何でしょうか?

(ポジショントークもふんだんに含まれますが)海外旅行です。

──そのキーワードを選んだ理由を教えてください。

海外旅行はコロナ禍で最も影響を受けた産業と言っても過言ではありません。2020年以降、各国の水際対策によって海外に行きたくても行けない時間がしばらく続き、海外旅行市場は当然大きく落ち込みました。しかし、最近になって少しずつ日本でも海外旅行の解禁ムードが広がり始め、2022年10月には日本人出国者数が2019年比で21%、昨年比では11倍にまで急回復しています。

とはいえ、2022年前半はウクライナ問題、インフレ、円安で海外旅行はトリプルパンチを受けました。市場全体として難しい局面が続いてはいますが、このような逆風の連続の中でも弊社では「#リベンジ海外旅行」キャンペーンなどヒット商品も誕生しています。海外旅行マーケットはコロナを機に完全にリセットすることとなりましたが、形を変えながらもいずれ必ず市場は戻ると信じています。二度とないこの機会に、あたらしい旅行の形をつくり、海外旅行を盛り上げていきたいと考えています。

──2022年の動きを踏まえて、2023年に個人的に期待している領域、またどういった領域がトレンドになると思いますか?

まず第一に機械学習です。2022年は急速に一般化が進み、身近で体感できる機械学習ツールが増えました。今まではビジネスツールや分析ツールが中心でしたが、ChatGPTやDeepL、DALL・Eなど汎用性の高いものが増えることで、機械学習が組み込まれていることが前提のサービス設計が必須になりますし、実体経済に影響を及ぼすことになる。わたしは10年後に歴史を振り返ったとしたら、Web3とはむしろ機械学習だったと言われるのではないかと思っています(その中にクリプトやNFTの話が含まれるようなイメージ)。

第二に海外旅行。これもポジショントークにはなってしまいますが、ワールドカップで現地が大盛況だったり、ヨーロッパ各地での大型アートイベントにはたくさんの人が集まったりと、コロナ以前のような光景が世界各国で見られています。実際ヨーロッパやアメリカは海外渡航者数が9割超、都市によっては過去最高レベルに回復をしていて、ホテル代の急騰も相まって市場規模はコロナ以前の水準に戻りつつあります。日本でも自由に海外旅行に行ける人が来年はますます増えると思っています。