──市場環境にも大きな変化があり、上場承認を受けた企業が上場を延期したり資金調達がシビアになったりと、スタートアップも大きく影響を受けた1年だったと思います。起業家として事業を運営する中で大変だったことなどあれば教えてください。

「悪い円安」という言葉も聞かれるようになり、今、日本全体に閉塞感が漂っています。長く続いたコロナ禍を抜ければ海外旅行市場も全てが元通り……というわけにもいきそうにありません。世界情勢等、我々の予測範疇ではない市場の難しさを大いに感じた1年でした。

しかし市場が大きく変化する時代に、スタートアップが生き抜いていくためには、プロダクトに投資する姿勢がぶれてはいけない。今後、世の中の資金も堅調に伸びているプロダクトに集中していくと感じています。 我々にとっては「海外旅行市場」というまさに今大きく変化している市場において、いかに市場の変革を起こすようなプロダクトを磨いていけるかにかかっており、その点は強く意識し続けています。 

ジョン・セーヒョン / oVice代表取締役CEO

──2022年に盛り上がったキーワードは何でしょうか?

サバイバル。

──そのキーワードを選んだ理由を教えてください。

ウクライナ情勢により、市場環境が180度変わった年だったからです。2022年1月はスタートアップにとっては非常に良い環境でしたが、4月〜5月ごろにかけて一気に悪くなり、毎週のように状況が悪化していったと感じました。

特にスタートアップは市場環境の悪化の影響により、資金調達も難しくなりました。その中でも資金調達を行えたところは持ちこたえたと感じますが、うまくいかなかった場合に負のスパイラルに陥ってしまう可能性もあった年だったことから、「サバイバル」というキーワードを選びました。

──2022年の動きを踏まえて、2023年に個人的に期待している領域、またどういった領域がトレンドになると思いますか?

コスト削減がさらに加速していくと感じており、コスト削減に貢献できるサービス、本質的な価値を提供できているサービスが伸びていくのではないか、と感じています。

──市場環境にも大きな変化があり、上場承認を受けた企業が上場を延期したり資金調達がシビアになったりと、スタートアップも大きく影響を受けた1年だったと思います。起業家として事業を運営する中で大変だったことなどあれば教えてください。

市場環境の変化により、2021年までのようにコストをかけることができなくなったことが一番大変かつ難しかったポイントです。これまでは、コストをかけても成長を優先するという機運でしたが、それができなくなったことで、コストをかけずにいかに成長させるか、コスト削減と成長のバランスをいかに取るかを考える必要が出てきました。