「それでお世話になっていた転職エージェントに登録し、いくつか転職先の候補を紹介してもらったのですが、エージェントフィー(紹介手数料)が高い企業しか紹介してもらえないんですよね。私は人事の経験があったから(転職エージェントが、紹介料の高い企業を紹介する傾向にあるということについて)気づけたのですが、普通の人たちは絶対に気づけません。この仕組みでハッピーなのは転職エージェントだけなので、もっと求職者の人生に寄り添う転職の仕組みを作らなければならない、と思ったんです」
3カ月悩んだ末、起業を決意
そんな考えが頭に浮かんだ岩崎氏は、中川綾太郎氏(ペロリ創業者、現newn代表)に相談を持ちかける。実際に話をしてみると、中川氏から「エージェントの仕組みを壊すか、エージェントより強いチャネルを作るか。選択肢はそのどちらかしかないよね」と言われ、結果的に自らエージェントより強いチャネルを作る選択をする。
「ただ、起業するかどうかは本当に悩みました。当時は株式会社が何かも知らないですし、資金調達の方法も知らない。当時、スタートアップが1億円の資金を調達するニュースを目にしていましたが、会社が失敗したら人生終わりだと思っていたくらいです。それで3カ月ほど悶々としている間にもう1度、(中川)綾太郎さんに相談に乗ってもらったら『僕が起業できたくらいだから、岩崎さんなら絶対できるよ』と言ってくれて。その言葉で起業を決めました。そのとき、綾太郎さんには『私が起業したら絶対に投資してくださいね』と言いましたけど(笑)」(岩崎氏)
とはいえ、岩崎氏は起業に必要な知識は一切身に付けていなかったため、中川氏から“起業とは何か”をゼロから教えてもらい、一通りの知識を身に付けた。また、独立系ベンチャーキャピタル(VC)「TLM General Partners」のジェネラルパートナー・木暮圭佑氏から資金調達の相談にも乗ってもらったという。
「もともと彼とは飲み友達だったのですが、VCだったことを思い出し、資金調達の相談に行ったんです。そうしたら彼はエクイティファイナンスを促さず、『まずは日本政策金融公庫に行って資金を調達した方がいい』と言うんです。その意見に素直に従い、最初は両親と日本政策金融公庫からお金を借りて、会社を立ち上げました」(岩崎氏)
オンライン学習サービスを使い、独学でプログラミングを学ぶ
転職系のサービスを開発したい──その思いは持っていたものの、開発を手伝ってくれるエンジニアは周りにいない。そこで岩崎氏はオンラインプログラミング学習サービス「Progate(プロゲート)」を使い、プログラミングを学ぶことにした。