YOUTRUSTのページビューとMRR(月額経常収益)の推移 提供:YOUTRUST
YOUTRUSTのページビューとMRR(月額経常収益)の推移。実数は非公開 提供:YOUTRUST

今から約2年前。“副業”が今ほど一般的ではなかった時代に、YOUTRUSTを立ち上げたのが創業者で代表取締役の岩崎由夏氏だ。2018年4月にサービスをリリースし、これまでに累計1億円以上の資金調達を実施するなど、着々と歩みを進めてきている岩崎氏だが、起業当時は「まさか自分が起業するとは思わなかった」と振り返る。

「私は人生において絶対に起業するタイプの人間ではないと思っていましたし、どっちかと言えば一生会社員で生きていくタイプの人間だと思ってたんですよね」(岩崎氏)

なぜ、岩崎氏は“起業家”としての人生を歩むことになったのだろうか。そして、どのようにして副業・転職のキャリアSNSという事業へ行き着いたのか。岩崎氏に話を聞いた。

DeNA時代に気づいた人材業界の「歪な構造」

遡ること8年前。ソーシャルゲーム全盛の2012年に、岩崎氏は新卒でディー・エヌ・エー(以下、DeNA)に入社した。大阪大学理学部卒業ながら、配属された部署は「人事部」だった。最初は新卒採用を担当していたものの、途中で中途採用に担当を変更。岩崎氏は「入社して1〜2年くらいはあまりにも仕事ができない人でした」と当時を振り返る。

入社当時、DeNAは“ソーシャルゲームの会社”というイメージが強かったが、2014年に同社は大きな動きに出る。住まいに特化したキュレーションメディア「iemo」を手がけるiemoと、女性向けファッションのキュレーションメディア「MERY」を運営するペロリの2社を計約50億円で買収。「DeNA Palette」の構想を発表するなど、キュレーションメディアのプラットフォームを次なる事業の柱として育てていく方針を打ち出していた。

そんな折、岩崎氏に子会社への出向の話が舞い込んでくる。当時の上司から「ペロリに出向して、採用を見てもらえないか?」と言われ、出向を決意。ペロリに出向した後は主に採用、経営企画を担当することになった。

だが出向して間もない2016年12月、医療・ヘルスケア情報のキュレーションメディア「WELQ(ウェルク)」の制作体制や情報の信憑性が問題視されたことを契機に、DeNAが運営するすべてのキュレーションメディアを非公開化する、いわゆる「WELQ騒動」が起こる。この一連の騒動によって、岩崎氏は出向先から帰任することになるが、帰任後の仕事の内容が自分が想像していたものとは違っていたため、そのタイミングで転職を考え始めたという。