大逆転人生ゲームでは、特定のマスに止まった際にだけ動かす複数の「ギア」が登場。ギア同士は連動しており、例えば「天気ギア」が晴れなら「結婚ギア」は「リゾ婚(リゾート婚)」を示し、結婚時に多額のご祝儀をもらえるなど、獲得する資産の多寡に影響する。

今回新たに導入された目玉要素の「ギア」
今回新たに導入された目玉要素の「ギア」

さらに、今回の目玉である「大逆転ギア」には「ほかのプレーヤーを追い出して住みたい家に住める」、「約束手形(借金)を右隣のプレーヤーにおしつける」など、ゲームの勝敗を決定的に変えてしまう効果もある。途中まで不利だったプレーヤーがより一発逆転を狙いやすいゲームになっている。

最後まで勝敗がわからないことで、全てのプレーヤーがゲーム終盤まで緊張感を持ってゲームに臨める。本ゲームでは2〜3ターンに一度はルートの分岐や人生の節目となるイベントが訪れ、さらにギアによる大逆転の仕掛けを導入することで、すごろくをベースにしたゲームにつきものの中だるみを防いでいる。

家族間で遊ばれることの多い人生ゲームでは、ゲームの内容をあまり理解していない未就学児と勝敗を強く意識する青年など、年齢層もゲームに対する興味のベクトルも異なる人々が卓を囲むことも少なくない。そんなゲームで、最後まで「ゲームに意識を向けさせる仕掛け」は重要な役割を果たしている。

コロナ禍に必要なのは、「辛口」より「大逆転」

人生ゲームが日本で初めて発売されたのは1968年。1作目の人生ゲームはアメリカのボードゲームメーカー・Milton Bradley社(現・Hasbro)から1960年に発売された「THE GAME OF LIFE」の邦訳版だが、1983年発売の3作目からはタカラ(現・タカラトミー)の製作になり、正月やお歳暮といった日本ならではの要素が追加。90年代からはほぼ毎年1本のペースで新作が発売されている。

ラインアップは大別して、約8年周期でリリースされる「スタンダード」と、ほぼ毎年リリースされる「テーマ版」の2種類だ。テーマ版は難易度が通常版とは異なる「辛口シリーズ」や、「平成版1999」、「人生ゲーム+令和版 目指せ TOP OF インフルエンサー」といった時代ごとの要素をふんだんに取り入れたもの、「阪神版」、「ときめきメモリアル2」といったコラボシリーズなどを幅広く展開する。ラインナップを眺めるだけでも、当時の思い出に浸る、意外なコラボを発見するなど、思い思いの楽しみ方ができるはずだ。

大逆転人生ゲームもテーマ版の中の1つだ。タカラトミー エデュテイメント事業室の池澤圭氏によれば、その誕生経緯には少なからず近年の時代背景が関わっている。